前作『わたしが幸せになるまで 豊かな人生の見つけ方』を執筆した時、「まさか私がこういう本を書くなんて!?」と驚いたのは、ほかならぬ吉川さん本人。前作では、トップモデルとして活躍する一方で、複雑な家庭環境にあったことを語り、大きな反響を呼びました。

「本を書けたこと、それをたくさんの方に読んでいただけたことは嬉しいことでしたが、その中には面白おかしく言われたり、ネガティブな反応があったことも事実です。以前なら、少しでもそういうリスクがあることは書かなかったのかもしれないのですが、これは言っていいことなのかどうか? とか、ここまでは正直に話すけど、このことは隠しておこう、というようなことを常に考えているような人生を選びたくないと、吹っ切れたのも事実です。誰がどう思うか? ということより、私の人生なんだから、私が納得して生きていることが一番重要なのじゃないかという結論に至りました」

 

「許せない自分も受け入れる」、許すことの曖昧さに気づく。

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また、両親について率直に書いたことで、読者から「それって毒親では?」という指摘があり、吉川さんは初めて「毒親」という言葉を知ります。そして、アメリカのセラピストであるスーザン・フォワードさんの『Toxic Parents(邦題:毒になる親)』という本と出合うことになり、吉川さんは大きな影響を受けます。

「この本を読むまでは、『親のことはもう許した。やられた私より、やってしまった親の方が辛いはず』と考えていたのですが、スーザンは本の中で、『解決していないなら無理に許さなくていい』と断言していて驚きましたし、それがきっかけで「許す」ということを掘り下げて考えてみました。私たち人間は、許す、許さないという言葉自体を使いこなせていないんだなっていうことに気づきました。そもそも、『許す』の定義ってすごく難しいですよね。全然気にならない日もあれば、やっぱり許せないという日もある。この『許す、許さない』という考え方が余計にややこしくしているから、『受け入れる、受け入れない』といった別の言葉で考えていったほうがいいなと思ったんです。それでようやく腑に落ちました」