「クローゼットには溢れんばかりの服があるのに、今日着る服がない」ーー多くの人が感じているであろうこの悩みを私も常に持ちながら、季節ごとになんとなく新しい服を買うことが長年の当然の習慣になっていました。

毎日パンパンなクローゼットから選ぶのは、結局いつも同じアイテムばかり。衣替えのときに「あー、この服着るのすっかり忘れてたな」と思いながら、再び収納するということを何年も繰り返していました。

去年の夏の終わりに友人と食事をしながら「こんなに服を持っているのに毎朝着る服がないってやっぱり何かがおかしいよね?」という話になり、そこから「半年間、新しい服を買わずに今ある服だけで過ごしてみよう」と思い立ち、ずっと目を背けてきたクローゼットと真剣に向き合ってみることにしました。

結果的に、新しい服を買わなくてもコーディネートの数が増え、毎日の服選びが以前よりも随分と快適になりました。
今回は私が工夫した方法をいくつかご紹介したいと思います。
 

無理してミニマリストになりたいわけではないけれど…
服を捨てずに、効率よくクローゼットを回すには?

ちょうど1年前のクローゼット。それなりに整理はしているものの、色も袖の長さも素材もバラバラな服がぎゅうぎゅうに詰まっていて、毎朝服選びに苦戦していました。

「ミニマルなクローゼットを目指すぞ!」と意気込んでインスタグラムで #ミニマリスト と検索してみると、オールシーズン30着! など、ミニマリストの方々の厳選された素敵なワードローブ情報がわんさか出てきました。そして観察していくうちに、衣替え不要なクローゼット作りをされている方がとても多いことに気がつきました。

確かに今はシーズンレスな洋服が多いし、気候変動の影響などで季節の変わり目が曖昧になっているので、衣替えなしのクローゼットは理にかなっているのかもしれません。勢いに任せて私も「ほとんどすべての服を手放してしまおうか?」と一瞬思ったのですが、もともと整理整頓は比較的得意なほう。すでにある程度は自分なりに絞った手持ちの服を眺めながら、「私は物を全然持たない暮らしがしたいわけではないんだった!」と我に返りました。

 

「服は捨てない!」そのかわりに
クローゼットには常に30着だけキープ


そうはいっても見える服だけでざっと80着はある私のクローゼット。単純に、組み合わせの選択肢が多すぎるのです。膨大な組み合わせを目の前に、これじゃキリがないということに気づきました。
「オールシーズン30着は今の私には無理だけど、目の前の3ヶ月を30着で過ごすことならできるかも……?」と思い、3カ月ごとの衣替えにトライしてみることに。
 

トップスとアウターは
シーズンレスなおしゃれを諦めた

今のクローゼット。「6〜8月は長袖を着ない」という単純なルールのおかげで今着る服の選択肢が減り、組み合わせを考えるのが楽になりました。(もちろん肌寒い日は長袖を着るなど、ルールは程よくゆるくしています)

そして3ヶ月30着に絞るために、トップスとアウターはシーズンレスなおしゃれの楽しみ方をいったん諦めることにしました。シーズンを跨いだアイテムがときに着こなしのスパイスになることは分かってはいるものの、今それを許してしまったら服の量がまた膨大になってしまう……。なのでそういった上級おしゃれはいったん封印。

具体的には以下のルールを作ってみました。
 


〈トップス&アウターのルール〉・春(3〜5月):長袖のトップス、薄手のアウター
・夏(6〜8月):半袖のトップス、透け感のあるブラウス、ノースリーブ
・秋(9〜11月):長袖のトップス、薄手のアウター、ダウンベスト
・冬(12月〜2月):ニット、厚手のアウター
 


ボトムスは1シーズンにつき
デニム3本、スカート2枚の計5枚に限定

デニムは薄いブルー、濃いブルー、ブラックの3本、スカートはフレアとタイトを1着ずつ。元々パンツスタイルがあまり得意ではないため、「きちんとした装いの日はスカート」と決めてしまえば気が楽に。

ボトムスはほとんどオールシーズン着られるものばかりだったので、そのシーズンの1軍アイテムの枚数を決めることにしました。具体的にはデニムは3本、スカートは2枚を1軍に。とはいえあまりにストイックになりすぎておしゃれを楽しめなくなるのも本末転倒なので、1軍に選ばなかったデニムやスカートもすぐ手に取れる場所に置いて、いつでも選べるようにしています。

下着やソックスの量も数を決めることに。「この仕切りボックスに入るだけの数」と決めることで引き出しの中もすっきりしました。

これに夏限定のワンピースが3着ほど。夏はアウターがないので、今のところ全部で25着くらいで回せています。
 

1シーズン30着以内でコーデを量産するための
<3つのステップ>


こんな感じで自分の中でルールを決めてワードローブを整理をしてみたら頭の中もずいぶんとクリアになり、やっとコーディネートを考えるためのスタート地点に立つことができました。

ここからは、今ある手持ちの服で自分的に満足感のあるコーディネートを量産するために行った3つのステップをご紹介したいと思います。
 

 STEP1 ムードボードを作る 

スマホ内に「コーデ参考」というアルバムを作り、素敵なコーディネートを見つけたらスクショしてストックしています。

早速コーディネートを考えようとしたものの、40代になった今の自分は一体どんな服装をしたいのか、自分でもよく分かっていないことに気がつきました。そこで思い出したのが、いつも仕事でやっているある作業のこと。

編集の仕事でブランドや雑誌のビジュアルを作るとき、イメージを膨らませたり方向性を可視化するために、“ムードボード”というコラージュ資料を作ることがあるのですが、今回はそれを自分自身に応用してみることにしました。

具体的にはインスタやピンタレストで直感的にいいな、真似したいな、というスタイリング画像をどんどんスクショして、スマホ内のアルバムに集めていきました。自分専用のムードボードを作ることで今の自分の気分を客観視できるようになり、「ベーシックなスタイルに、小物や色で少し遊び心がプラスされた服装が自分の理想なんだな」ということに気づくことができました。
 

 STEP2 小さなハンガーラックを一つ用意する 

楽天で8000円ほどで購入したハンガーラックを愛用しています。フレームがスクエアでマットな質感なので、部屋に置きっぱなしでも圧迫感がなく気に入っています。

STEP1で今の自分が着たいスタイリングイメージをようやく掴めたところで、いよいよコーディネートを組んでいきます。ここでヒントになったのが、大草直子さんの『毎朝1分で服を選べる人になる48のルール』という本の中で見つけた、「小さなラックを1つ買おう」という提案でした。
確かにスタイリストさんの仕事場を覗くと、皆さん小さなハンガーラックに服をかけながらコーディネートを考えられています。きっとラックにかけることで、スタイリングの全体像を俯瞰で見ることができるんだと思います。

私も早速小さなラックを購入し、ラックを使ってコーディネートを考えてみたら、驚くほど組み合わせが思いつきやすくなったのです。今までは新しい服を買ったときくらいしか新しいコーディネートを思いつかなかったのですが、このラックのおかげで、手持ちの服の新たな輝かせ方を発見できるようになったことは、とても大きな発見でした。

またコーディネートを組むだけでなく、着て帰ってきたコートをクローゼットにしまう前に休ませるときや、シャツにスチーマーをかけるときにもこの小さなラックは大活躍。もっと早く買えばよかったと思います。

 
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