風俗も「不貞行為」になる。けれど...


年下の女友達には、20代のイケメンをお勧めされたという弥生さんですが、「若い男の子におばさんの相手をさせるのは気が引ける」とのことで、年上の男性セラピストを指名したそう。

「ホームページには刺激的な文句が並んでいて怯みましたが、深夜にお酒を飲みながら勢いで予約しました。私が使ったのは出張専門の女風だったので、場所も手配する必要があります。中には自宅に呼ぶ女性もいるそうですが、家族のいる私はもちろん無理なので。ビジネスホテルの、見栄を張って少し広い部屋を同時に予約しました」

ホテルの料金は2万円ほど。そこにセラピストの男性は紹介割引で120分1万円ほどでやってくるそうで、初回の合計金額は約3万円。思ったよりもお手頃、というのが弥生さんの印象でした。

「でも、かかった費用はそれだけでなく……夫とも数年触れ合っていないうえ、夫以外の男性に裸を見せた記憶なんてもう遠い昔のことだと気づくと青ざめてしまって。だらしないおばさんの客と思われたくなくて、急いで脱毛やらエステを予約しました」 

そこまで細かく気を回してしまうのは、弥生さんらしいというか、女性らしいと言えるのでしょうか。ちなみに弥生さんは、女風を使うことに対して戸惑いや緊張はありつつも、不思議と罪悪感はなかったようです。

 

「理由は自分でもわかりませんが、やはりお金を払うからなんでしょうか。あと、感情がないから……罪悪感を持ちにくいんですかね? ちなみに細かい性格なので色々と調べてしまいましたが、金銭が発生するサービスだとしても、身体の関係を持つ行為は『不貞行為』となるそうです。結婚は他の異性と性的関係を持たないという決まりなので。

ただ、金銭が発生していて1回限りの場合、不貞行為として相手側を訴えるのは難しいみたいです。でも継続的に1人の人と関係を持つとなると、たとえサービスだとしても相手側を訴えられることもあるよう」

 

やはり風俗も、結婚制度上はNG行為なのです。しかしそんなリスクをご自身で調べた上でも、弥生さんの決意は変わりませんでした。かなり真面目な印象のある彼女がそこまでの行動に出るのは、「女として終わってしまう」という不安が、一部の女性にとっては深刻なものであるということがよくわかります。

「当日は、『仕事で帰りが深夜になる』と家族に伝え、帽子をかぶってホテルにチェックインしました。迷った挙句1名で予約したのですが、後から友人が訪ねてくるとフロントで伝えるとあっさり鍵を用意してくれたのが意外でした。そういう用途って意外と多くて、ホテルも容認してるのかな……なんて思いました。

部屋に入り、シャワーを浴びてセラピストを待つ間は、頭がおかしくなるかと思うくらい緊張しました。ここまで行動したのに、今すぐ逃げたいと思うくらいで。実際、動悸と言えるくらい心臓がバクバクしたし、指先や声もちょっと震えていました」

このときは、欲情しているわけでもなく、むしろ怖さのようなものを感じていたという弥生さん。そんな心境になってまで、それでも女風を使う……と聞くと、胸が痛くなりました。もともとは夫に一途で真面目な性格の彼女が、お金を払い、決して前向きな気持ちではなく、それでも性的サービスを受ける必要があるほど追い詰められていたのです。