日本は「経済」のカテゴリーにおいて123位とかなり低い順位になっていますが、その原因は同一労働における男女間の賃金格差や女性管理職の少なさなどが原因です。

どちらの性別か決められないという人を除けば、世の中は基本的に男性と女性が約半分ずつ存在していることになります。それにもかかわらず片方の性別からしか人材を登用しなければ、有能な人材を適材適所に配置できないリスクが高まります。人材を最適配置できなければ、生産性が伸び悩むのも当然の結果と言えるでしょう。加えて、男女間で賃金格差がなくなれば、労働者の所得が増えますから、消費も拡大し、経済全体にもプラスの効果が及びます。

このような意見を述べると必ずと言ってよいほど出てくるのが、「女性は高い地位に就きたがっていない」「門戸を解放したところで有能な人材がいない」という反論ですが、果たしてそうでしょうか。

トヨタと並ぶ世界的な自動車メーカーである米GM(ゼネラルモータース)のバーラCEO(最高経営責任者)は同社初の女性トップですが、高卒で工員として入社した人物としても知られています。

2022年の北米国際自動車ショーで、ジョー・バイデン米大統領に自社の自動車の説明をするメアリー・バーラ米ゼネラルモータースCEO。写真:ロイター/アフロ

彼女は生産ラインの現場にいる時から卓越した能力を発揮し、現場の責任者がすぐに彼女を抜擢。その後、さらに成果を上げたことからGMの社内大学に進学し、その後はトントン拍子で出世の階段を駆け上がり、トップにまで上り詰めました。

米国は日本に比べると人材に事欠かない国と言われていますが、それでも本当に能力のある人材を発掘するのは容易ではありません。このため各企業は現場にいる無名の社員にまで目を配り、トップになる才能を持つ人物がいないか、まさに血眼になって探しているわけです。 

日本の大企業で、人材の登用に関してここまでの努力をしている企業はあるでしょうか。答えはほぼ100%ノーだと思います。人材登用という環境ひとつとっても、日本企業はあまりにもぬるま湯だということが分かります。

日本人の賃金は米国の半分しかありませんが、米国人は適当にビジネスをして日本人の2倍稼いでいるわけではありません。背景にはこうした地道な努力が存在しているのです。

企業はビジネスをする場所ですから、男性・女性とこだわる必要はなく、多くの人材の中から優秀な人材を探し出す努力をしていれば、必然的に女性の登用も進みますし、企業の業績も拡大していきます。ランキングの結果が悪いことは、日本社会がこうした努力を怠っていることの裏返しなのです。

※参考資料:「女性活躍とマクロ経済」(首相官邸HPより、第3回「女性と経済」に関する勉強会資料)

 

 

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