初恋のお相手と、念願の結婚

1947年7月、婚約発表。バッキンガムパレスでのフォトコール。写真:Camera Press/アフロ

13歳の時、父の母校、ダートマスの王立海軍兵学校を訪問した際、案内役であったフィリップ殿下に一目惚れしたエリザベス王女。以来、文通などを通して、8年の交際期間を経てついに結婚。
とはいえ、その経緯は実は順風満帆ではなかったんです。

元々ギリシャの王子であったフィリップが海外生まれであることや、またギリシャから亡命した現役の英国海軍士官という立場であったこと。また資産もなく、姉がナチスと関係のあるドイツ系貴族と結婚したことなどから、母エリザベスを筆頭に反対の声が多かった中、諦めることなく説得をし続け、ついに初恋を実らせ、婚約へとこぎつけたエリザベス王女。

優等生であった王女にとって初めてご両親に自身の意志を貫き通した出来事、とも言われています。エリザベス女王の強い信念は、この頃から、すでに結婚にも表れていたのです。

同年(1947年)に、ウェストミンスター寺院にて、結婚式が行われました。

 

25歳で即位、戴冠式

1953年6月2日、戴冠式後、セシル・ビートン氏によって、バッキンガムパレスで撮影された記念画像。写真:TopFoto/アフロ

1952年2月6日、ジョージ6世の逝去により、25歳で即位することとなったエリザベス女王。父の代理として海外ツアー中、ケニアでその連絡をうけ、急遽英国へ帰国。黒のお洋服に身を包み、専用機のタラップを降りる瞬間から、英国女王としての責務がスタート。

戴冠式は翌年、1953年6月2日。伝統のウェストミンスター寺院で執り行われた、その時のお言葉がこちらです。

“皆さんが私に誓ってくれたように、私もみなさんに誠心誠意に奉仕することを誓います。私の心と生涯を賭けて、みなさんの信頼に値するよう努めます”。

ちょうどTVが普及し始めた当時、国民にこの歴史的瞬間を共有するべきと、戴冠式をTV中継する案や許可を出されたのも、エリザベス女王でした。
 

歴代15人の首相を迎えた、英国の母

1995年10月16日。写真:AP/アフロ

25歳という若さで即位をされ、70年もの長きにわたり女王として在位されたエリザベス女王が、迎えられた英国の首相は15名。サー・ウィンストン・チャーチルに始まり、最後はお亡くなりになる2日前、トラス前首相の任命でした。中には、“鉄の女”と称された、マーガレット・サッチャー氏も。

“君臨すれども統治せず”をモットーとする英国君主制ゆえに、政治的関与はないものの、もはや政治家達にとっての母でもあっただろうエリザベス女王。毎週、オフレコで行われる首相との謁見では、時に涙する政治家もいたそうです。