現在夫と別居中の小百合さん(仮名)30歳は、19歳でひと回り年上の裕福な夫と出会い、2ヵ月後に妊娠発覚・スピード結婚されました。若かった当時の彼女にとって、夫との出会いは「運命」と思え、また周囲からも「玉の輿に乗った」と羨まれていましたが、産後に夫は豹変。

夫は育児を全くせずに家を空けがち、またモラハラ・子どもへのDVなどの本性が現れたのです……。専業主婦だった小百合さんはアルバイトから仕事をスタートし、離婚を考え始めました。

 
取材者プロフィール
 小百合さん(仮名)30歳
職業:広告代理店勤務 
家族構成:別居中の夫、10歳と8歳の息子さん

 

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不平等な夫婦生活で、妻が得たもの


19歳でのスピード婚・出産後、育児をまったくしない夫のモラハラに耐え続け、産後うつも乗り越えた小百合さん。

ですが、夫がまだ1歳の息子さんを「泣きやまないから」と殴り、顔面内出血させたことをきっかけに離婚を考えはじめます。とはいえ、当時の小百合さんは妊娠による大学中退後は専業主婦として過ごし、職歴もありませんでした。

「あの頃は、このまま私が家に居続けるのは子どもたちにとっても危険だと本能的に思っていました。Facebookで『仕事がしたい』と投稿したことでアルバイトですが働き口が見つかり、なんとか社会に出られて本当によかった。

でも、収入は大した額ではないのに『働いているから』と生活費がもらえなくなり、さらに私の収入の半分を夫に渡すというルールを作られたので、金銭的にかなりキツかったですが……。それでも、とにかく私が経済力をつけるしかないと、何とか頑張っていました」

その甲斐があり、小百合さんはアルバイトから契約社員(現在、最終的には正社員)と、少しずつスキルをつけ、転職をしながらキャリアを形成、収入も増やすことができたそう。

ちなみに、このときは夫に収入の半分を渡していたと言いますが、収入額は夫の方がはるかに多いうえ、家事育児は小百合さんがほぼすべて負担していたというので、明らかに不平等だと思います。

ただ、彼女はこの不平等な環境を、子どもたちのために耐えていました。2人のお子さんを育てながらフルタイムで働くのも大変ですし、さらに働くほど経済状況が圧迫されるのであれば、心が折れそうになることも何度もあったと想像します。

けれど、逆に言えばこの環境は小百合さんにとって修行のような場となったのです。

コツコツと地道に頑張るうちに、彼女はワーママ生活に慣れ、収入も増え、手元に残ったお金で3人分の生活をやりくりできるようになり、「夫がいなくてもやっていける」という自信が芽生え始めたのです。