⑥笑顔で全方位を斬りつける、京都人のディスに震撼…!


京都市長の着物の背中、そして手に持つ扇子に「洛中」の文字がデザインされていることから、彼が洛中の人以外を京都人と認めていないことは明らかです。東京や大阪のことももちろん見下している食えない人物ですが、もっと恐ろしいキャラクターが登場します。それは、滋賀解放戦線の近江美湖(堀田真由)が潜入する、祇園の小料理屋の女将(山村紅葉)です。


同じく解放戦線のメンバーだった美湖の父親は、京都を偵察中に、京都人の本音が掴めず精神を崩壊させられました。同じ悲しみを繰り返さないために、滋賀解放戦線が開発したアイテムが、京都人の建前を本音に翻訳するポケトーク(のような機械)。それによってあらわになる、女将の「いけず」っぷりが絶品です。女将が美湖を罵倒する際の、切れ味鋭いセリフもぜひ劇場で。

 

 

⑦『翔んで埼玉』の主役は埼玉!

『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』2023年11月23日(木・祝)全国公開 配給:東映 ©2023 映画「翔んで埼玉」製作委員会

メインのストーリーは関西で展開しますが、このシリーズの主役はやはり埼玉。麗が考えた、埼玉を走る鉄道路線を横で繋ぐ「武蔵野線開通計画」にともない登場する、各鉄道会社の「路線族」が、メインのストーリーにどう絡むのかに注目を。嘉祥寺らによる強烈な「埼玉ディス」も大きな見どころの1つです。また、麗たちの「伝説パート」に対して、本作でも「現代パート」の軸が存在しています。そこでは、カーラジオから流れる「伝説」に耳を傾けながら車を走らせる家族のやりとりと、彼らが参加する綱引き大会のシーンが描かれます。前作のヒットを受けて、埼玉のみなさんの協力態勢は万全で、ご当地キャラも大集合! 

すべてにおいて前作よりもスケールアップした、『翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜』。シナリオの伏線回収も緻密かつ驚きに満ちていて、「パート2は駄作が多い」という説を覆す、大人が楽しめるコメディ大作に仕上がっています。

<作品紹介>
『翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜』

 

2023年11月23日(木・祝)全国公開
出演:GACKT 二階堂ふみ 杏 片岡愛之助 ほか
原作:『このマンガがすごい!comics 翔んで埼玉』 魔夜峰央(宝島社)
監督:武内英樹
脚本:徳永友一
©2023 映画「翔んで埼玉」製作委員会
前作『翔んで埼玉』はNetflixで配信中。

文/須永貴子
構成/山﨑 恵