妻の仕事に苦言する夫 


「夫は2歳年上で、以前務めていた会社の同僚でした。部署が違い接点もなかったのですが、たまたま社内の飲み会で親しくなり交際することになり、その1年後に結婚しました」

交際から結婚まで、2人の関係は順調だったそうです。紗奈さんは当時32歳で、年齢的にも結婚適齢期。メガバンクに勤めていた2人はお互いに結婚願望もあり、トントン拍子に結婚。

都会の共働き夫婦は多忙ではありつつも、家事や家計を分担し、しばらくは平和な新婚生活を送っていたそうです。

 

「関係がおかしくなったきっかけは、私の転職です。それまでは言ってしまえば『お堅い』勤め人でしたが、たまたまご縁があり、音楽関連のプロダクションに転職したんです。前職で一通りの業務をこなし、何か新しいことを始めたい気持ちが芽生えての転職でしたが、思った以上に仕事内容も形態も環境もガラリと変わりました」

メガバンクから突然芸能界に飛び込んだ紗奈さん。新しい業界は、彼女にとって刺激に溢れていたと言います。

 


「なんというか、ちょっと普通ではない人、常識外れな人、ぶっとんだ人が本当に多い業界で。それまで私はかなり真面目に生きていたので、そうした人たちの型破りな生き方、自由に才能を発揮して世間に大きな影響を与えている姿にすごく衝撃を受けました」

初めての転職、さらに新規事業の立ち上げチームに配属されたこともあり、紗奈さんは仕事にのめり込んでいきました。深夜までの残業や出張、会食なども増え、以前よりも忙しくなりましたが、新しい仕事は彼女にとって非常に魅力的だったそう。

「そんな中、夫がたびたび私に遠回しに苦言するようになったんです。『そんなに働かなくてもいいんじゃないの』『身体壊すよ』など。会食に至っては、『紗奈が接待なんてする義務はない。断ったほうがいいよ』『俺が上司に言ってあげようか?』なんて口を出すことも増えました。

たしかに急に激務になったので、最初は『心配してくれてるんだな』と楽観的に捉えていました。でも、転職したてで忙しいのと仕事自体が楽しかったことで、夫に従う余裕はありません。するとだんだん、彼の様子がおかしくなってきたんです」