美容は容姿を美しくするだけのツールではない


神崎さんは発売を前に高校生のために無償でスキンケア講座を開きました。その後、こんなことをインタビューで語っています。

「美容=容姿を美しくする、とだけ捉えられがちですけれど、家庭科や技術、保健体育、性教育と肩を並べて学校の授業に加えてもいいと思う要素もたくさんあります。いわば、美容は生きる知恵のひとつ」
美容家・神崎恵が運動部の男子高校生たちに「スキンケア講座」を実施して衝撃を受けた「意外な反応」より)

都内の共学の高校にて。希望者が約100名集まった会場では、「まわりに聞ける人がいないから」と運動部の男子学生が目立ちました。

誠実な美容家は、できるだけ多くの人に間違いのない正解を提示するため(これが美容系インフルエンサーと美容家の決定的な違いでしょうか。インフルエンサーは、※個人の感想です。が通用してしまうからインパクト強めのコメントが成立するわけです)、たくさんのお金と時間を自分に投資します。文字通り毒味役と言ってもいい。「自分の身体を使って身をていしながら役立つ情報を提供しようとするあなたの姿勢、なんだか鶴の恩返しみたいだね」と伝えたこともありました。そして、言葉により説得力を持たせるため、容姿を整えておく必要もある。それがゆえに誤解も受けることもあります。四方から矢も飛んできます。その覚悟も担います。

 

はっきり言って修羅の道です。それでも、美容家・神崎恵は美容というツールに人生をかけ、その力を人々に伝え、それを使いこなせる人を一人でも多く増やそうと日々奮闘し、一方で、笑顔を絶やさずにコロコロと鈴の音のような軽やかな声で、今日も笑顔でインスタライブ(未見の方は、ほぼ定期的に毎週金曜日の夜に配信している「おつかれさまライブ」をご視聴ください)をしているのです。神崎恵……おそろしい子!

というわけで、美容が好きな方、美容を楽しんでいる方に向けた美容本を作る方が容易であるにも関わらず、あえてそうしなかった神崎恵さんの心意気が詰まった新著が刊行されました。面倒臭い。あきらめた。どうせ効果はない……などの理由から美容との距離感が難しくなっているという方のために。そして、語弊を恐れずにいうのなら、キラキラと輝いて見える神崎恵的なるもの(美容を頑張らなくてはならないという圧)が苦手だと感じていた方のために作った一冊です。「それ、私のことかも」と思った方、ぜひ手に取っていただけたら嬉しいです。

新著の詳細レビューはコチラ>>

神崎恵をもっと知りたくなった方は、ジェーン・スーさんの対談集『闘いの庭 咲く女』がおすすめです。

 

<新刊紹介>
 通常版 
通常版『一生ものの美容の基礎知識 美容の教科書』
1980円/講談社

美容初心者はもちろん、美容は面倒くさいと思っているすべての人へ。「やったほうがいいこと」ではなく、「やらなくてもいいこと」に着目。年齢、性別を問わず使える120の普遍的な考え方をイラストで、とことんシンプルに、分かりやすく解説。

 

 特別版 
特別版『一生ものの美容の基礎知識 美容の教科書』
2640円/講談社

通常版(カバー違いで本体内容は同一)+34Pの小冊子付き(書下ろしエッセイ&撮り下ろしカットの他、アイテムはすべて本体と連動した内容で、より具体的に活用可能な美容初心者のために自身がセレクトしたアイテムカタログ)

イラスト/篠塚朋子
取材・文/大森葉子(VOCE編集部)