想像を超えることが起こる覚悟をしておかないと助からない

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このように、政府は南海トラフ巨大地震に対して万全の策を練っているようにも見えますが、宮地さんはこの計画には“穴”があることを指摘します。

「南海トラフ巨大地震の連続発生や首都直下地震との連動までは描き切れていないのだ。しかし、我が国の歴史を振り返れば『連続発生』『連動』は十分に起こり得ると言える。いざ、そのときを迎えたら国はどうするのか。南海トラフ巨大地震の応急対策活動計画は 改定されたばかりだが、大地震が単発ではなく連続して生じ得るとの前提に立った想定は欠かせないだろう」

 

「連続発生」「連動」が起こった場合、消防や警察はそれぞれの地元で活動するだけで精一杯で、計画通りにはいかないことが想定されます。それもあって、宮地さんは京都大学の河田惠昭名誉教授の言葉を引用するかたちで、最悪の事態に備える重要性を訴えます。

「起きてほしくないことは、そこまでは起こらないでしょうと考えてしまう。想像を超えることが起こるという、それなりの覚悟をしておかないと助からない」