――奥さん演じる元・ミステリー研究会メンバーの江南と、青木さん演じる島田は、半年前に亡くなった天才建築家・中村青司の死の謎を解くバディ。真っすぐな江南とニヒルな島田のバディ感が、作品のスパイスになっていますが、どんなことを大事にして関係性を作り上げていきましたか。

 


奥智哉さん(以下、奥) クランクイン前に、内片監督から江南と島田のやり取りは、テンポ感やテンションを大事にしてほしいと聞いていたので、そこを大事に演じました。

青木崇高さん(以下、青木) 二人のコンビネーションというのは、このドラマにおける見どころでもあって。監督とも話したんですが、シーンごとに目的みたいなものがあると思うんです。ここで一気に関係性がドライブしてバディ感が強まるだとか、逆に、相変わらず島田は何を言ってるのかわからないなとか。そうした目的をクリアしながら、それが視聴者に届くように考えながらシーンを作っていった感覚はありますね。

 

 二人のやり取りを通じて、実は、初めてちゃんとお芝居したという感覚があったんです。というのも、“相手の芝居を受けて、素直に反応する”という、今までなんとなくやってきたことを、内片監督にこういうことだよと、嚙み砕いて言語化していただいたんです。

江南と島田のやり取りを通じて、今までスッキリしなかったことが晴れたなって。おどける島田に対して、江南は同じ強さで返すのもいいけど、もっと強くいってもいいだとか、押し引きするお芝居の楽しさを気づかせてもらえたんです。

青木 僕もそうですけど、現場で演じていて、表情を強く出しているつもりでも、こちらが思っているほどではないことはある。そうした絶妙なバランスというのは、監督でありプロデューサーである内片さんに俯瞰してもらい、この関係性がより面白くなるように、我々は調整をしたという感じですね。すべてはミステリーがベースになっているという構造は逃さずに、しっかり作っていきました。