新たな設定で、科学者同士の恋や友情も


Netflix版「三体」には原作にはない斬新な設定がまだあります。何かというと、オックスフォード大学で共に学んだ仲良しグループの天才科学者たちを「オックスフォード・ファイブ」と名付けていることです。気心知れたグループの仲間のなかで友情はもちろん、恋もあったり、時にはぶつかったりも。学生の延長線のようなノリで、地球外生命体の侵略とそれぞれのキャラクターがどう向き合っていくのか。この辺りも見どころになります。

エイザ・ゴンサレスと共に、ニュージーランド出身のジェス・ホンが演じる理論物理学者ジンもこの「オックスフォード・ファイブ」のメンバーです。男前女子の役柄そのままの雰囲気で宇宙をテーマにしたレッドカーペットを歩くジェス・ホン。個別インタビューにも気さくに答えてくれました。

Netflix「三体」より。Netflix ©︎2024

ジェス・ホンは作品の中で超未来的なVRヘッドマウントディスプレイを被って、3つの太陽が存在するVRゲームの世界に引き込まれていくシーンが多めです。本人も撮影中の印象的なシーンの一つにVRゲームを挙げ、「想像をはるかに超えた大きなスタジオでの撮影でした。ジョン・ブラッドリー(ジャック役)と一緒にクレーンで釣り上げられることもあったわ。VRの世界なのに、きっとリアリティを感じてもらえるはずよ!」と、興奮気味に語っていました。
 

 


ロンドンプレミアの最後を飾ったDJイベントでもジェス・ホンは場を盛り上げ、ダーシー刑事役のベネディクト・ウォンが「DJオビ・ウォン」のDJネームでプレイ中、常に笑顔を絶やさなかったのも印象的でした。

異次元を意味した「Out Of This World」がドレスコードだったロンドンプレミアで一番そのイメージにピッタリのファッションだったのが、台湾系アメリカ人のジーン・ツェンでした。ジーンにとって大作の出演は今回が初ですが、天体物理学を学ぶイエ・ウェンジエを堂々と演じ切っています。このキャラクターが体験した1960年代の中国文化大革命の悲劇がきっかけとなって、宇宙の運命を変えてしまう重要な役どころです。

Netflix「三体」より。Netflix ©︎2024

ジーン・ツェンもレッドカーペットインタビューに快く応じてくれました。まさにその文化大革命のシーンについて「500人ものキャストと一緒に撮影だなんて初めての経験でした。しかも皆で私のことをほら、白けた目つきでジーっと見ているの。こんな風にね」と、手振り身振りで再現してくれるジーン。「でも、何より役者としてとっても良い経験になったし、最高の撮影だったわ」と、とびきりの笑顔を見せながら、元気いっぱいに語ってくれました。

 

今回のロンドンプレミアイベントに登場したエイザ・ゴンサレスにジェス・ホン、ジーン・ツェンの3人はNetflix版「三体」をリードする役柄です。エイザはこの作品で新しい顔を見せ、ジェスとジーンはこの役をきっかけに活躍の場をさらに広げていきそう。彼女たちの個性も活かしたキャスティングであることも注目したい理由の1つにあります。


構成/山崎 恵
 

 

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