③ 我が子を守るために熟考された、公表のタイミング

自分が罹患したことを受け入れる時間、そして化学療法に取り組むための身体的回復の時間、更に子供達に話し、理解してもらうまでの時間……。それら全てを同時に悩み、葛藤しながら、個人として夫婦として、また家族として考えられていたことを想うと、胸が痛くなり、また事情を知らずに病名公表を期待していた私たちを申し訳なく想うばかりです。

何よりも、日頃からキャサリン妃にとって最も重要なのが3人のお子様たち。自分のことよりも、いえ、むしろ子供達がいるから強くなれるのも母ゆえでしょう。
お子様たちの気持ちを考えながら正しいタイミングで……というのは簡単だけれど、実際に伝えることがどんなにお辛かったか……。また皇太子一家としては、学校という公の場に通う我が子に対して、外での言動や対応などもきっと話し合う必要があったのではないかと推測します。

親として、ジョージ王子(10歳)、シャーロット王女(8歳)、ルイ王子(5歳)を最優先に考えられたことの表れ、と断言できるのが、キャサリン妃の動画が公開された日です。実はこの日(金曜日)の午後で、お子様たちの学校が春休暇に入りました。よって、衝撃のニュースで世間が騒つく頃には、我が子を公的な場所から遠ざけ、ご家族で静かに過ごせるというわけです。

これには前例があり、マーガレット王女(エリザベス女王の妹)が夫スノードン卿との別居を正式発表されたのも春休み休暇がスタートしたタイミングと、同様にお子様たちを守られたのでした。

 

④ エリザベス女王の信念に則り、妻と子供たちを支え、公務に従事し続けたウィリアム皇太子

思い返せば2月27日、ウィリアム皇太子が国王の代理として出席が予定されていたギリシャのコンスタンティヌス国王の追悼式を、当日キャンセルされた理由も、実はキャサリン妃の罹患が理由でした。キャサリン妃が予防的科学療法を始められた日ではないかと、私は推測しています(2月末から開始と、パレスが明言)。

生前エリザベス女王の信念は、『決して愚痴を言わず、決して言い訳をせず』。
ウィリアム皇太子もそれに従い、キャサリン妃の手術以来、無言を貫かれてきました。よってこのドタキャンも更なる憶測を呼び、果ては皇太子のDV疑惑に不倫といった噂までが飛び交う始末。しかし、その実皇太子は妻キャサリン妃を支え、子供達の子育てをサポートし、その上公務にも従事されてきました。

ただでさえ、父と妻が同時にがんに罹患という現実は受け入れ難いものである上に、幼い頃に愛する母を失った皇太子にとって、我が子に母キャサリン妃の病気について理解させる辛さも、また子供の気持ちも痛いほどにお分かりなはず……。

加えて、チャールズ国王が公の場に不在な今、皇太子として国王代理という重責も負うこととなりました。あり得ないほどの困難が重なり、想像も出来ないほどのプレッシャーもあるであろう中、おくびにも出さずこれまで通り笑顔で公務をされていたウィリアム皇太子に、畏敬の念を抱くとともに、次期国王たるもの、の強さを実感した次第です。