テレビ出演経験の浅い女性の専門家を起用して生まれた効果


望月:タンパク質に関する番組を作る際、打ち合わせ段階で検討していたタンパク質の分野の権威の男性の先生のご都合が合わず、出られなくなったということがありました。その先生から、テレビ出演の経験は少ない、当時講師でいらっしゃった女性の先生をご紹介いただきました。 
朝からタンパクをとろうねって番組としては伝えますが、その先生は、子育てをしながらお仕事を抱えていらっしゃる方だったので、実生活では結構大変なことだっていうのは、実感としてわかってらっしゃいました。視聴者のニーズをわかった上で、電子レンジや缶詰を使った手軽で見栄えのいいレシピを考えてくださったんです。学術分野とはまた別のプラスアルファの情報提供の部分で、番組にメリットを生むことができました。
 

 


女性を探す努力を惜しまない


ーーこの分野の権威は、絶対的に男性、または女性ってことはおそらくなくて、探しさえすれば、性別に関わらず適任と言えるスペシャリストはいらっしゃるのだと感じました。むしろ、新たな才能を発掘するきっかけになりそうです。 

望月:BBCからも、「探せばいるし、ちょっと余力があるときに、特定のジャンルで新しい声を探すのは、テレビにとってすごくいいことですよ」っていうアドバイスをされました。日頃からアンテナを張って、努力をして、より新しい多様な方に出演していただく中で、コンテンツはより豊かになると感じます。

 

ーー他の参加番組からも、この取り組みを始め、男女比を意識するようになった結果、取り上げるエピソードのバリエーションが広がったという声があがっているそうですね。BBCも、この取り組みの意義として“新しい多様な声”を探すことをあげているそうですが、まさにその例と言えそうですね。

望月:限られた時間の中で制作していくので、労力を省こうとすれば、ラインナップに上がってくるのは過去の実績のある男性が多くなるのは事実かもしれません。でも、そのままにしていると、例えば医学の難しいことをやっているのは男性なんだなっていうことを、番組として伝えたいこととは別で、刷り込みをしてしまうかもしれません。『あさイチ』では、テレビ出演歴が浅くても、むしろ女性を積極的に探していこうっていうのは、コンセンサスはとれているのかなと思います。