日常で感じる「ちょっとした違和感」について井戸端会議していくこの連載。ウェブマガジン「ミモレ」とその読者コミュニティ〔ミモレ編集室〕に寄せられた皆さんのモヤモヤエピソードをご紹介していきます。

今日ご紹介するのは、職場のモヤモヤエピソードです。

 


「あの人の引継ぎ、やばかったんだよ」…って私のこと?


エピソードをお寄せくださったのは、最近異動したばかりというマキさん(39歳・会社員)。

この春、10年ぶりに職場で異動しました。「在籍歴も長いし、さすがにそろそろ……」と思っていたとはいえ、発表があったときは頭が真っ白。しかも未経験の業務で、勤務地も少し離れることに。私が勤めている会社は、異動の事前打診は一切ナシ。しかも、ひとたび発表されたら数週間で引継ぎを完了させて異動するのがルールです。

一度は頭がフリーズしたものの、その後必死で仕事を整理し、引継ぎしました。多くの同僚を見送ってきた経験から、異動するときは「立つ鳥跡を濁さず」したいものだと常々思っていた私。それでも、心の準備なく数週間でというのは難しかったです。最後は休日出勤までしてなんとかやりとげましたが、なかなか揉めていた案件も後輩に引き継ぐことになってしまい、とても心苦しかったです。

それでも「できる限りの引継ぎはした」と気持ちを切り替え、新しい業務に向き合っていたのですが……。引継ぎした後輩が、どうやら私の悪口を言っているらしいという噂が耳に入ってきました。

「マキさんは、案件の一番大変なタイミングで私に押し付けた」
「引継ぎ期間中も、新しい部署に行くことに頭がいっぱいの様子だった」
「マキさんは仕事が適当だった。僕はその尻拭いをさせられている」

そんな酷いことを言われているなんて、と目の前が真っ暗に。微妙なタイミングで引き継ぐことになったのは事実ですが、それは私のせいではありません。情報もしっかり整理して、十分に説明して納得してもらったとばかり思っていたのに。「困ったことがあったら連絡してね」とも言ってあるのに音沙汰はないですし……。

考えれば考えるほどモヤモヤします。正直、「文句があるなら直接言ってよ!」と彼に言ってやりたいくらいの気持ち。どうすればいいでしょうか。

 


「完璧な引継ぎ」は無い

 

急な異動辞令、引継ぎ、新しい部署での業務開始……大変な春だったんですね。マキさん、本当にお疲れ様です。やっと波を一つ乗り越えたかと思ったタイミングで、後輩が自分の悪口を言っているなんて聞いてしまったらショックですよね。

噂の内容が本当だとしたら、なんともモヤつく事案です。「私はできる限りやったのに、そんなに好き勝手言われる筋合いはない!」と思ってしまうのも当然だと思います。

一旦落ち着いて考えてみると、たぶん「完璧な引継ぎ」というものはこの世に存在しないのではないでしょうか。引き継ぐ人、引き継がれる人、業務に関係するいろいろな立場の当事者……。

異動というものが多かれ少なかれサプライズを含んで発生するイベントである以上、誰にとっても100%満足できる引継ぎって、なかなか難しそうですよね。

また、10年選手だったマキさんの後任になった後輩の心境を想像するに、きっと大きなプレッシャーを感じているはず。「マキさんのようにできるだろうか」と不安になりながら、必死で自分を守ろうとして、悪口のようなことを言ってしまっている可能性もあります。そして恐らく、周囲の方はある程度はそのことを理解した上で彼の話を聞いているのでは……と想像してしまうのですが、いかがでしょうか。

 
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