こんにちは、ミモレの川端です。
東京は久々の大雪でしたね。ふわふわした積雪にちょっとはしゃいだ気持ちに。誰も踏んでないところを選んで踏んで帰りました(笑)。いつもより少し早く帰宅できたのでブログを書いています。
今朝のご出勤、外出はどうぞみなさんお気をつけて!

「本はどうやって選んでるんですか?直感ですか?」というご質問をいただきました。

はい。そうですね。ほぼ直感です。

まずは、表紙を見て、いいなと思った本はハズレがないです。

最近のベスト表紙はこちら。NYのバーグドルフグッドマンの伝説のパーソナルショッパー、ベティ・ブライシュの自伝『人生を変えるクローゼットの作り方』。吹き出しの"I'll Drink To That"(ほんとにそうね)の位置が絶妙です。

小説だけじゃなく、ノンフィクションやビジネス書もわりと読むほうですが、「表紙はイマイチだったけど、いいこと書いてあった」ってことはあまりないです。表紙の完成度と中身の完成度はわりとイコールです。完成度というのは、いま自分が「求めているもの」に対する満足度の高さと言ったほうが正確かもしれません。フィットするかしないかは表紙にほとんど現れています。

次に、1行目を読みます。

1行目読んで2行目を読みたいと思ったら、最後まで面白いです。それは、好きな作家さんでも、新しい人でも。どんなに書評で褒められていても、1行目でムリそう〜と思ったら買わないんです。

つい最近、読んだことのない作家さんの文庫本を買って、すごく面白かったのでご紹介しますね。

森美樹さんの『主婦病』(新潮文庫)。母親を事故で亡くし、父親と二人で暮らす十二歳の女の子の大人への気づきを描く(「眠る無花果」)、夫との会話が成立せず、秘密の在宅勤務に精を出す主婦・美津子(「まばたきがスイッチ」)など、家族の日常を描きながらどこかエロティックさの漂う短編集です。

「眠る無花果」の書き出しは

母のお葬式があった日の夕食は、フライドチキンだった。

これだけだと主人公が何歳くらいなのか、どんな立場の人なのかわかりません。でもなんて興味をそそられる書き出しでしょう。

放心状態というか、まるでこっちが幽霊になったような父と私だったが、父の方が先に正気に返り夕食を買ってきた。さすが大人だ。

と2行目にあって、「私」は大人ではなく、いま家に父と二人きりだととわかります。

「これ、さっきひろった骨に似てるね」

という「私」セリフが続いて、何歳くらいならそんなことを言うんだろうと思いながら、悪趣味ギリギリだけど、「私」のどこか突き放したような、でも繊細さが感じられ、、、ほら、もう読むのをやめらない! 

「四月から中学生だもんな」という父親のセリフが出てくるのはだいぶページをめくってからで、だんだんと家族関係や事故の状況がわかってきます。

ムダに説明的でなく、登場人物の関係性へ想像力を掻き立てる書き出しは、物語を先へと読ませる力があります。

売れる本と売れない本の違いの論理的な解説が『ベストセラー・コード』という本に書かれていて、とても納得したので、これは次回に詳しくご紹介しますね。人を惹きつける書き出しとそうでない文の決定的な違いは、情報量ありました。

ベストセラー500冊、あまり売れていない本4500冊をデータ解析し、売れる本の秘密を数値化した画期的な本です。残念ながら翻訳本なので、対象は海外小説だけなのですが。納得できることだらけ。

「面白い」っていうのはすごく主観的な感情ですよね。
だから、面白いかどうかは、自分の感性にすごく正直に、注意深くなることでヒット率が上がる、と思います。

『主婦病』は今年最初のクリーンヒットでした。2018年のベストブックにもう候補入りです〜。

ではでは、また。

最新のマイヒット本は、インスタアカウント@batayomuでも紹介しています。こちらでもぜひ〜。