80年代を背景にした韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』が、コギャルたちが街を闊歩する90年代を舞台にした青春映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』として生まれ変わりました。ミモレではSINMEのデザイナーとしてもおなじみの板谷由夏さんが演じるのは、グループのリーダー的存在だった芹香。末期ガンに侵された彼女の「死ぬ前にもう一度だけ、みんなに会いたい」という願いから、空白期間のあった女たちの物語が動きはじめます。板谷さんは余命いくばくもない芹香を演じるために、短期間で体重を5㎏も落として撮影に臨んだといいます。

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板谷由夏 1975年、福岡県生まれ。モデルとして活躍し、99年に映画『avec mon mari』で女優デビュー。以降、数々の映画、ドラマに出演。今年は『PHOTOGRAPH51』で初舞台にして主演をつとめた。『映画工房』(WOWOW)、『NEWS ZERO』(日本テレビ系)にも出演中。
 


「私たちの仕事は、形から入っていくと気持ちも自然と作っていけるところがあるんですよね。韓国版も大好きな映画だったので、芹香という役を演じるご縁をいただけてうれしかったです。オリジナルにも描かれていたキャラクターをベースにしつつ、大根(仁)監督が描きたいことはなんだろうと考えながら、自分なりに芹香と向き合いました。強くてリーダーシップがあるけれど、誰よりも寂しがり屋なところもある。彼女の気持ちで理解できないところはありませんでした。大変だったのは、ダンスシーンの練習ですね。最初の撮影がダンスだったので、もう必死。監督が上手に編集してくださったので、助かりました(笑)。クライマックスのダンスのシーンだけでも泣ける映画になっています」

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取材中もくるくる表情が変わり、チャーミング!

高校生パートを演じる女優陣と一緒に撮影した日は、「大人チーム(篠原涼子さん、ともさかりえさん、小池栄子さん、渡辺直美さん)のみんなは“若い子たちはずっと笑っていて、子犬みたいで本当にかわいいね。元気のかたまりだね”ってほとんど母親目線でした」という板谷さん。
「なんていいつつ、私たちも集まるとお祭り騒ぎだったんですけどね。いつもキャーキャー言ってました(笑)。一体、何を話してたんだろう…? 大したことのない内容でもずーっとしゃべっていられるところって、高校生のときも40代になっても変わらない気がします。
私はコギャル世代ではないのですが、ルーズソックスは履いていました。三つ折りのソックスではなく、ラルフローレンの靴下を履き始めたのは私たちの世代だと自負しているんです(笑)。制服のウエストのところを折って、ミニスカートにもしていましたね。購買部でパンを買うのに、廊下をバタバタ走って怒られて。映画と同じように女子高に通っていたので、あんな感じだったなと懐かしくなりました。

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ガンで余命数ヶ月、という芹香の役作りのため、3週間の食事制限で5kg体重を落としたそう。

高校生の頃からモデルの世界に進みたいと思っていて、実際に始めたのは高校3年生の頃。洋服も好きだったし、洋雑誌を読むのが大好きだったんです。ケイト・モスのアップの写真の目に写っているカメラマンやスタイリスト、ヘアメイクを探しながら読んでいました。“向こう側”に行きたかったんですよね。今もつながっている学生時代の友だちがふたりいて、この前も舞台を観に来てくれました」

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「クランクイン初日がダンスシーンの撮影だったので、練習が大変でした」

インスタでは友人の石田ゆり子さんや井川遥さんとの交流が綴られることもあり、女友だちとの心地よさそうな距離感に憧れを抱いているミモレ読者の方も多いのではないでしょうか。そう伝えると「自分で言うのもなんですけど、私の周り、いい女が多いなぁって思います(笑)」と語りながら、「井川(遥)はずっと続いている友だちですが、20代のときは女友だちがあまりいなかったんですよ」と意外なことを明かしてくれました。

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「渡辺直美さんは初めて共演したのですが、一番若いのに肝が座っていて。撮影はすっごく楽しかったです」

「年上の男の友だちや姉貴っぽい大人の女性によく遊んでもらっていたんです。あの頃は女子同士のライバル心が今よりもあったからなのかもしれないですね。年齢を重ねるとみんなそれぞれに肩の力が抜けて、生活すべてにおいて自分は自分、人は人という感じになってくる。そういうタイミングで友だちになった人とは、楽にいられるような気がします。
私たちの仕事は約束もしづらいから、明日連絡がとれたら会う? っていうことも多いですしね。(篠原)涼子ちゃんや(ともさか)りえちゃんも、そんなにしょっちゅう会うわけではないけれど、会うとすぐにすっと打ちとけて自然に話すことができるんです。その不思議な感じは40代だからこそかな、って。意識せずとも、それぞれを尊重できる。40代になってからの友だちって、すっごく楽しいと思います」

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ドルチェ&ガッバーナのワンピースに、セルジオ・ロッシのパンプスで。


女優、デザイナー、妻、母。いくつもの顔を持ちながら、「人付き合いに関しても無理にスイッチを切り替える必要はあまり感じていないです。友だちもそんなに多くないんですよ。目立つ友だちが多いだけで(笑)」と、板谷さんの言葉や表情にはそのしなやかな体から受ける印象と同じように、まったく力みが感じられません。板谷さん流の人付き合いのコツは? と質問すると、「何も考えてないかも」と困ったように首をかしげ、「何も考えてないんですよ。う~ん…何だろう、ホントに何も考えてないです。…って3回も言っちゃった(笑)!」と、大らかで気取りのない受け答えに取材陣も思わず大笑い。

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「デザイナーではなく、女優としての板谷さんはまた違った表情ですね」 とスタッフが声をかけると照れながらこの笑顔。


「みんな大人なので、私があれやこれや考える必要がないのかもしれないです。若い頃のように“私、私”じゃなくなってきて、干渉しすぎず、でも役に立ちたいから助けられるときは、力になりたいと思うようになってくる。だから大人の付き合いは楽なんだなと思います。この世は人の縁と人間関係だけで成り立っていると言ってもいいくらいだと思うので、その悩みに囚われてしまうのは本当に大変なこと。私はそのへん、野生の勘が働いてものすごく判断が早いんです(笑)。できる限り自分にとって居心地がよくてピースフルな場所にしか行かないから、周りに好きな人しかいない。人間関係も衣食住もすべて心地よくて楽しいことが好きなので、そういう環境を作ることを手間とは感じません。人生、何でも楽しまないともったいないですよね。たぶん私、快楽主義なんだと思います(笑)。」

<映画紹介>
『SUNNY 強い気持ち・強い愛』

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90年代にコギャルとして青春を過ごした女子高生グループ、サニーの6人。20年後、奈美はメンバーだった芹香と再会するが、彼女は末期がんに侵されていた。死ぬ前に仲間たちに会いたいという芹香の願いを叶えるため、奈美が動き出すが……。『モテキ』などで知られる大根仁監督が韓国映画『サニー 永遠の仲間たち』をリメイク。小室哲也が音楽を手がけ、劇中に90年代のJ-POPがちりばめられている。

監督・脚本:大根 仁
出演:篠原涼子、広瀬すず
8月31日(金)全国東宝系ロードショー ©2018「SUNNY」製作委員会


取材・文/細谷美香
撮影/横山順子
構成/片岡千晶(編集部)