引き続きのモルディブ滞在記。今回は環境問題について考えてみたいと思います。

「キレイな海が観光資源のほとんどすべて」と言っても過言ではないモルディブ。「地球環境を保全しつつ、持続可能であること=サスティナブル」というテーマと真摯に向き合わざるをえない急務な状態にあるのがリゾート産業とも言えるでしょう(もちろん、すべての産業がそうあるべきなのですが!)。

モルディブのクラブ メッドでは、サスティナブルの考え方や海の魅力、モルディブの文化を体験できる工夫がたくさん組み込まれています。その最大の特徴は専門知識を備えた海洋生物学者がリゾートに勤務していることかもしれません。

モルディブのクラブ メッド カニフィノールに勤務する海洋生物学者、マノンさん。


今回は、カニフィノールにて、珊瑚礁再生プログラム(有料)に参加。

まずは、現在、珊瑚礁がおかれてる過酷な現状のお話を聞き、その後、珊瑚の養殖体験をしました。

「珊瑚礁は全海洋生物の4分の1が暮らす豊かな住居なんです。珊瑚が死滅すれば、そこで暮らす生き物たちも姿を消すことになります。地球温暖化による珊瑚礁の消滅、珊瑚の白化による砂漠化は深刻で、現在は全世界の珊瑚の7割以上が危機的状況にあると言われています」とマノンさん。

  • 養殖は珊瑚礁の消滅にともなう海の砂漠化を少しでも改善するための活動です。
  • 珊瑚の欠片をケージに巻き付けて固定。こちらのケージを海に沈め、発育過程をチェックしながら、養殖場所を微調整していきます。
  • こちらのプログラムは、楽しく環境問題を学ばせたい向き合わせたい親御さんが積極的にお子様に体験させるプログラムなのだそう。


ケージに珊瑚礁を巻き付けたら、最後にタグ付けます。ログインすると3ヶ月ごとの発育状況がチェックできます。自分の養殖した珊瑚がモルディブで育つ様子がずっと世界中どこからでも見られるというのは夢がありますね!

  • 「ぜひ、日本に帰ってからも、今日、養殖した珊瑚のことを忘れないでくださいね」
  • 「そうすれば、日常で海のためにできることを考えるキッカケになりますから!」とマノンさん。
  • マノンさんと行く、シュノーケリングツアー「MobiReef」はモルディブの多様な海洋生物を効率的に見て回ることができます。


タグを付けたら、いざ、ケージを海へ!

  • マノンさんが海に入り、直接養殖スポットへ置きに行ってくれます。
  • セットした変わりに別のケージを運んできてくれました。
  • こちらは養殖してから4年後の珊瑚。珊瑚が育つには本当に時間がかかることが分かります。



本当に透明度が高く、すぐそこに珊瑚礁があり、たくさんの熱帯魚が生息しているモルディブの海。この恵まれた環境の海でさえ、予断は許さない状況だとマノンさんは言います。

人間は自然の恩恵を受けるだけで良いのでしょうか? 

自然は絶妙なバランスで健全さを保とうとして、海はいつでも無償で人間によって引き起こされた被害のリカバー作業をしてくれています。でも、このまま人間が経済の成長スピードをゆるめなければ、きっと海の生態系は自然回復ができなくなるところまでいくのでしょう。いや、もう、その分岐点を超えてしまっているのかもしれません。

  • モルディブのクラブ メッドではいち早く紙のストローを採用したのだそう。また、私が滞在したフィノールヴィラは、島内に設置されたソーラーパネルで主な電力はまかなえる状態にしてあるとのこと。
  • ペットボトルのゴミをできるだけださないよう、水は瓶にボトリングされて提供されています。プラスティックのゴミをださないよう意識することは、これからの消費社会を考えるうえでとても大切なことですね。
  • 供される魚介は、生態系に影響を与えないよう大量に生息していることが確認されているものだけを使用しているとのこと。レストランのメニューもサスティナブルの意識のもとで構成されているのも特徴です。



私は環境保護を考えるとき、『私たちは子供たち(子孫)から自然を借りている』という言葉を思い出すようにしています。「借りているものはそのままの状態。願わくばより良き状態で返したい」という感覚を自然に対してももつことが重要なのかな、と。でないと、「自分だけでできることなんて本当にちっぽけなことだ」と、つい易きに流されてしまいますから! 

ひとりひとりの日常の選択の積み重ねがすべてである。とどのつまりは私の選択こそがすべなのであると、今一度肝に銘じたいと思いました。

次回はリゾートの着こなしについて綴ります。