「ミモレ世代の性とカラダ」で扱う切り口をどうしていくべきか、ライター村上さんと編集担当のちあっきー(こと、片岡千晶)とともに幾度となく作戦会議をしています。そこで、「ぜひご出演をお願いしよう!」と盛り上がったのがAV男優の森林原人さんでした。

中学受験では、麻布、栄光、筑波大駒場、ラ・サールすべてに合格し、結果的に筑駒に入学。そんな偏差値78というスペックでも有名な森林さん。女子SPAでは女の子たちの性相談のコミュニケーションに関する質問への返答に愛情と知性が感じられていたため、ずっと気になっていた方です。自身の運営するリビドーリブ(無料会員登録が必要)では宗教人類学者の植島啓司先生と対談。ライター村上さんからは「講演会には多数の40代、50代の女性が押しかけているようですよ」という情報もいただき、さらに弊社から『セックス幸福論』が刊行されているのですが、担当部署の者からも「とても思慮深く、示唆に富んだ本ですよ」と太鼓判をおされ……

そして、先日、取材当日を迎えることとなりました!

好きな作家は池田晶子さんということからも、哲学好きということがうかがえる森林さん。このインタビュー後に、同じ年生まれのちあっきーと共通の恩師や友達がいることが発覚し、ワイワイと盛り上がっておりました。


「セックスの鉄人は思索の哲人だった」という著書の帯のキャッチコピー通り、人類学、脳科学、心理学、社会学、哲学……いろいろな視点から「森林さんの考えるセックス観」を語って、語って、語りまくっていただきました。生殖を目的とする以外のセックスの役割や価値、かけがえのなさはとても言語化しにくいものだと思うのです。それをずばり言葉におとし体系化して論理的に語る姿は、まさに学者のごとし! あまりに奥行きのある情報量に、久しぶりに取材で脳の奥の方がしびれてしまいました。

森林さんがセックスとこれほどまでに真摯に向き合い、数多くの女性たちの悩みに寄り添っているのはなぜなのか――著書『セックス幸福論』には以下のように書かれています。

 70年代のようにフリーセックスを推奨するという狙いがあるわけでも、今の自分の職業を正当化しようとしているわけでもありません。社会から逸脱して、無責任に好きなようにセックスをすればいいと言っているわけでもありません。繰り返しになりますが、僕はセックスが人一倍好きなだけで、社会性をそこまで欠いているつもりはないのです。社会とセックスを切り離しながら、社会性とセックスらしいセックスが両立してあったらいいじゃないかと考えています。

 今は、セックスが、どうも不自然に隅のほうに追いやられている気がするので、もっとセックスと向かい合い、捉えなおすことで、人と人との繋がり方もいいほうに変わるんじゃないかと思っているだけです。

〜中略〜 生殖行為としてのセックスに興味を持つことを建て前にしていただいて、セックスが持つそれ以外の可能性や魅力を秘めたるものにしすぎず、また、後ろめたさを感じすぎず、僕が教わったことや考えたことを知ってもらえたらと思います。

「好きな人ができました」。
そこにあるのは愛でしょうか、それとも欲望でしょうか。


森林さんの記事は今週金曜日公開予定です。

今日のお品書き
大反響を読んだスタイリスト川上さやかさん「脱ほっこり」特集に続きまして、スタイリスト望月さんの「ニット+スカート」短期集中連載が始まりました。はからずしも、コチラも「ほっこりさせない」ためのアイデアが詰めこまれています。ほっこりしがちな秋冬コーデのご参考に!