幼き頃から脳が忙しいタイプでした。国語のテストの最中、長文読解の問いに対し、その物語に対し思考がどんどん広がってしまって、結果的に試験を受けている自分に集中できず、時間切れ……。たとえば、そのようなことがとても多かった気がするのです。大人になってカラダのメンテナンスをしていただいたトレーナーの方に「大森さんの極端なモンキーマインドが自分を疲れさせてますね。眠りが浅いのもそのせいです」と言われたことで、「あ、私が自分を不自由に感じている理由はそれだ!」とピンときました。
モンキーマインド。木の枝から枝へ飛びまわる猿の行動を思考にたとえた言葉で、めまぐるしく思考を切り替えている状態のことをさします(とはいえ、基本的には脳はそれが得意なのだそうで、放っておくと誰しもがそうなりやすいのだそう)。そうなると、ストレスが高まり、思考力が消耗してしまうので、とにかく集中力が低下してしまい、何事にも没頭することができないと言います。
そうなんです、私は極端に雑念が多く、思考がホッピングしやすい(という自覚が大いにあり)。ひとつの作業に没頭することがとにもかくにも苦手なのです。そこで、ずっとずっと気になっていたのが「マインドフルネス」でありました。
マインドフルネス。耳にしたことはありますでしょうか? 悩みや不安を抱え、ストレスフルな生活を送る現代人のストレス対策として注目されてており、心身のリラックスや緊張・ストレスの緩和だけでなく、創造性や集中力、意思決定力、はたまた良好な人間関係の構築などが期待されると言われています。GoogleやAppleなどが社内環境を整えるために導入したことで日本でも一気に浸透しました。
端的に言うと、禅や瞑想をベースにした心のトレーニングの呼称です。
ちなみにモンキーマインドと並んで、マインドフルネスの対比としてよく語られるのは「マインドワンダリング(心の迷走)」というキーワード。心が「今この瞬間」に起こっていることに注意を向けず、目の前にあることとはまったく関係のないことを(気づかないうちに)考えて過ごしている状態のことをさします。ちなみに、現代人は1日の約50%の時間がこのマインドワンダリングの状態にあると言われています。目の前の仕事や勉強、人間関係などとはまったく関係のない過去がふと頭をよぎり、それが心の中でぐるぐると反復し、勝手に落ち込んでしまったことはありませんか? 読書の最中、違う考えが浮かび、結果的に同じページを何回も読む羽目になる、といったことはありませんか? 何かを取りにいこうと立ち上がったのに、「あれ、何しにこの部屋にきたんだっけ?」などとなってしまうこともきっとそうですね……と書いていて思いました、「私、50%を遥かに超えるマインドワンダリング状態かもしれない」と(汗)。
それに対し、過去にくよくよしたり後悔したりすることなく、未来を憂い思い煩うこともなく。「ただ、今ここにある自分」に気づく。それがマインドフルな状態です。
例えばレッスン中に先生から『あ〜、呼吸が今日は深く入らないな』と感じても、そこで思考は終わらせる。『昨日、たくさんお酒を飲んだからだな』とか『もっと上手に呼吸できるようになりたいな〜』とか思いを走らせることないよう、『もちろん今日の仕事の心配事なども考えないように』とも語りかけられました。『そのまま自然な呼吸を続ければOKですよ』とも言われるものの、言われた瞬間は「ひゃ〜、私、無理かも」と思っていたのですが、レッスン後には「トレーニングでもっていけるようになるかもしれない」……という手応えを感じるにいたりました。マインドフルな状態に自分をもっていった時の感覚のエッジをほんの少し触れた気がしたとでもいいましょうか。そして何より、「雑念や無駄な思考を排除し、自分自身の中に生まれる“気づき”を静かに感じるだけの時間を持つこと」は本当に気持ち良かった!
自分の身体や気持ちや気分の状態を見つめる。判断や評価するのではなく、自分ツッコミすることもなく(←これ、私にはかなり大切)、そのまま素直に受け止めて、感じる。そんな心の整った健全な状態に、いつでも自分をもっていけるトレーニング「マインドフルネス」。雑念だらけの私にとって道はかなり険しそうではありますが(苦笑)、自分のペースで引き続き、鍛錬していければいいな、と思っています。
今日のお品書き
以前から写真の大ファンで、その感性に少しでも触れたいと連載をお願いした写真家の在本彌生さん。今週は「太陽の塔」を紹介してくれました。もし、岡本さんが生きていたなら、彌生さんにポートレートを撮ってみてほしかったな〜。そして、そして、内部公開、どうしても予約をしはぐってしまう私。いつか、必ず!
Comment