映画『search／サーチ』で考える、自分をいちばん知っているのは誰？

私はTwitterやinstagram、FacebookなどのSNSをやっていないから大丈夫。そう思っている方であっても、インターネット検索を利用していない方は少ないと思います。

『誰もが嘘をついている ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性』を読むと、実名でのSNS投稿や従来のアンケート調査では、人間はいかに見栄から嘘をつくかということがよく分かります。グーグルなどの検索窓には本当の欲望や悩みを打ち明けているからです。

たとえば、米国の失業者の方が検索しているワードは何だと思いますか？　「新しい仕事」「職業斡旋所」ではないか、と私たちのほとんどは推測すると思いますが……実際は有名ポルノサイトの名前だったのだそう。秘められた検索として、女性はセックスについて何をググッているか、ヘイトと偏見をめぐる真実、親たちは性別で子供たちを差別している、リベラルも保守も実は同じサイトを見ている、Facebook上の友人についての真実……などなど、たくさんの人間の本性がビッグデータ分析により暴かれていきます。『誰もが嘘をついている ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性』

その世界は自分が求めるまだ見ぬ明るい未来があるのか、深い沼のような闇なのかーー普段見つめているスマホやPCの画面は小さいけれど、そこから遥か彼方まで広がるインターネットの世界には目眩を覚えることがあります。

あなたという人間をいちばん説明することできるのは、いったい誰ですか？　　家族？　恋人？　親友？　はたまた、インターネットの中に日々蓄積されていくデータ？　　この映画の鑑賞後、「いやいや、自分をいちばん知っているのは自分に決まってるじゃないか！」と言い切れる自信が私はちょっとなくなってしまいました。