お正月の楽しみといえば箱根駅伝! という人は多いのではないでしょうか。今回は筋金入りの箱根駅伝ファンである、ミモレが所属するデジタルチームの部長・石井亜樹と、おなじみ編集・バタやんに、箱根駅伝の魅力やマニアックな見どころを教えてもらいました。今までは何となくテレビを眺めてただけという人も、これを読んだ後は180°見方が変わるはず?! さらに、面白さ倍増の秘訣もお届けします!
 

今大会注目は、五連覇がかかる青山学院大学

今年の「5区候補」としても注目されている竹石尚人選手。青山学院大学は、下級生にも有力選手が揃う層の厚さと総合力で、史上3校目の五連覇を狙います。写真:Ludi1572 / Shutterstock.com


ミモレ 箱根駅伝を長年見続けている二人からみた、今年の見どころは?

石井 95回目となる今回は記念大会で、出場校が20校→23校と例年より多いんです。走者が多いぶん混戦が予想されるし、翌年に向けたシード権争いもいっそう激しくなりそうです。

バタやん そのなかでも注目といえば、やはり五連覇がかかった青山学院大学と、それを阻止せんとする東洋大学、東海大学との対決ですね。青山学院大学は、実力が同レベルの選手がいたらより若い選手を出場させるそうなんです。おかげで今回出場が予想されるメンバーのうち、前回大会出場者は7人もいるんです。まあ、それでいったら東洋大学は9人いるんだけど(笑)。いずれにせよ、これって本当にすごいことなんですよ!

ミモレ 箱根ではなにより経験がモノをいう、ということ?

石井 それもあるし、あとは冬の寒い時期に行われるので、大会当日にスタメンの選手が体調を崩してしまうこともありえなくないんです。他の大学だったら、エースはそのコンディションを押してでも出場するしかないこともある。でも青山学院大学は選手層が厚いので、ベストコンディションの選手をエントリーすることができる。この差は大きいですね。

ミモレ なるほどー。

石井 逆に「片道の5人なら揃う!」という大学は、有力選手を一方に固めて往路(復路)優勝を狙うという作戦をとったりもするんです。往路と復路に分けて、それぞれ注目してみるのも面白いですよ。事実、昨年の往路優勝は東洋大学でした。もちろん東洋大学はいつも完全優勝を目指していますけどね(笑)。

 

“推し”がいなくても面白いのが箱根の魅力!


ミモレ 箱根駅伝ファンの間では、やはり推しの大学とかもあるんですか?

バタやん 意外とそうでもないかな? 箱根駅伝のシード権は10位までなので、それ以外の大学はみんな予選会から勝ち上がってきているんです。そういう大学が予想外に上位に食い込んでくるとやっぱり応援したくなるし、大会も盛り上がります!

昨年の5区を走った田中龍城選手。東洋大学は“その一秒を削り出せ”のスローガンが有名。メンバーは毎年入れ替わるのに、各大学ともそれぞれのチームカラーを脈々と受け継いでいるのが面白い! 写真:Ludi1572 / Shutterstock.com


石井 大学にもそれぞれカラーがありますよね。青山学院大学がいわゆるスター軍団なら、東洋大学はいい意味で泥臭いというか。東洋大学は先日の福岡国際マラソンで優勝した服部勇馬選手や、東京マラソンで日本新記録を出した設楽悠太選手など、後に結果を出す選手を何人も輩出しているんですよ。そういう点でも注目しておく価値はありますね。

ミモレ 卒業後にも楽しみが繋がっていくんですね! では区間ではどうでしょう。やはり“花の2区”とか?

バタやん たしかにエース級が揃って出場するので注目ではあるけれど、ここ数年はレース全体がスピード化しているので以前ほどの特別感はないかも。それでいったら山登りの5区に注目したいですね! コースのほとんどが急な上り坂なうえに距離も長いので、毎年ここでほぼ勝負が決まってしまっていたんです。そういう事情もあってか、一昨年の93回大会から距離が2.4km短縮されたんですよ。2.4kmといえばかなりの違いですからね〜。改正から3年め、各大学の対応がそろそろ結果になって出てくる頃じゃないかなと。

ミモレ 今年も“山の神”はいるんですか?

バタやん 今年はいないんですが、期待されているのは青山学院大学の竹石尚人選手(3年)です! いまの青山学院大学・黄金時代の礎を築いた“3代目山の神”神野大地選手より、平地でのタイムは速いとか。今年の箱根前の合宿でも、山道のコースで神野選手の持っていた記録を上回るタイムを出したそうですよ。

ミモレ 箱根駅伝に詳しくなくても、5区の過酷さ、ドラマティックさは目が離せなくなりますよね。今年はより注目してみます!

 

箱根駅伝はテレビ中継&事前の予習も面白い!

 

バタやん あとは大会だけでなく、テレビ中継のクオリティにも注目してほしいです!

ミモレ 中継にですか??

石井 他の駅伝中継と比べるとよく分かるんですが、箱根駅伝の中継って、ものすごく質が高いんです。駅伝の中では最も注目度の高い大会なので、普段駅伝を見ない人も楽しめる、飽きさせないための工夫がすごい。解説やテロップで届けられる情報量は比べものにならないし、選手一人ひとりのバックグランドや記録、去年の大会から背負っているものまですべて、アナウンサーやスタッフ全員がきちんと理解したうえで中継してるんですよ。

ミモレ なるほどー。そう聞くときちんと見てみたくなりますね。

石井 箱根駅伝そのものがお正月の風物詩ということもあって、テレビ局側の気合いも違います。例えば、他のスポーツ中継と違ってタレントさんが出演しないのは“学生スポーツである箱根駅伝をテレビによって変えてはならない”という矜持があるからだそうですよ。このあたりについては「箱根駅伝 不可能に挑んだ男たち」に詳しいです。今は絶版ですが、たまに中古がアマゾンで1円で出ているので、見つけたらぜひ読んでみてほしい。初期の中継エピソードは涙なしには読めません……。

ミモレ 箱根駅伝が想像以上に奥が深いということはわかりました。ほかに、より深く楽しむためのポイントはありますか?

石井 しっかり楽しみたいなら、ガイドブックなどでの予習がおすすめですね。コンサート前にCDを聴くのと同じで、駅伝も予習すればするほど本番のレースが面白くなります。あと界隈では超有名なTwitterアカウント「EKIDEN News(@EKIDEN_news)」さんは、いろいろと面白い企画や情報を発信されていますよ。ガイドブックも出されていますが、本を買わずともフォローはマストです!

バタやん 大会前後はさまざまな関連番組も放送されるので、とりあえずはそれを観て予習するのもいいかもですね! 注目選手の顔を何人か覚えておくだけでも、面白さが全然変わってきますよ〜。

【箱根駅伝 テレビ放送日程】


「SAPPORO新春スポーツスペシャル 第95回箱根駅伝 往路」
2019年1月2日(水)7:00~14:05
「SAPPORO新春スポーツスペシャル 第95回箱根駅伝 復路」
2019年1月3日(木)7:00~14:18

☆関連番組
「箱根駅伝 区間エントリー徹底分析SP」
2018年12月30日(日)24:25~24:55
「箱根駅伝 絆の物語&スタート直前生情報」
2019年1月2日(水)5:50~6:45
「箱根駅伝 往路ダイジェスト&復路直前生情報」
2019年1月3日(木)5:50~6:45

放送はすべて日本テレビ(地上波)。公式サイトはこちら

 

【石井&バタやんおすすめの、箱根駅伝ガイドブック】

 

『95回大会完全保存版 女子のための観戦ガイド WE♡箱根駅伝』

ノンフィクション編集部 編 602円(税別) 集英社

「かわいさと読みやすさに特化した女子向けガイドブック。選手やコースなどの見どころがファンの視点から紹介されているので、箱根駅伝ビギナーの人でも注目すべきポイントがわかりやすいはず。三浦しをんさんによる書き下ろしの巻頭エッセイも必読です!」(バタやん)

 

『あまりに細かすぎる箱根駅伝ガイド! 2019』

EKIDEN NEWS 著 980円(税別) ぴあ

「超有名駅伝Twitterアカウント「EKIDEN News」さんによる箱根駅伝ガイドブック。現地観戦を計画している方に役立つように作られています。出場校の主務(マネージャー)が読んでも便利というレベルで、用語集の詳しさ、面白さはピカイチ!」(石井)

 

『箱根駅伝 2019 完全ガイド 出場23チーム有力選手写真名鑑&戦力分析』

陸上競技マガジン編集部 編 926円(税別) ベースボール・マガジン社

「箱根駅伝のガイド本は数あれど、私のおすすめはベースボール・マガジン社のガイドブックです! 走っている全員を覚えることは難しいので、選手名鑑は1冊あると楽しい。選手の好きな食べ物だとか、ちょっとした個人情報が入ってるのが嬉しいです」(石井)

文/山崎恵