ミモレコンセプトディレクター大草直子と美容ジャーナリスト安倍佐和子が、2020年の注目キーワードを紹介する連載、全8回にわたってお届けしてきました。最終回となる今回は、コロナ対応の渦中にいる今、見つめ直す消費と責任について考察します。

Photo by Anna Shvets from Pexels

この連載企画がスタートしてから、新型コロナウイルス感染症拡大によって状況が一変。見えない驚異にかつてない緊張を強いられる、そんな日々が続いています。平穏な日常を守り、健やかに生きることがいかに大事か、そのためにはいま何をすべきかが、問われているような気がします、いかがでしょうか?

そこで改めて、ビューティトレンドのひとつである「未来をつくる消費」「使う責任」にフォーカス。健やかな未来のため、長く培ってきた美の価値観を大きく見直すタイミングがきているということをリマインドしたいと思います。

 

背景にあるのは、待ったなしの地球温暖化や環境汚染問題。ここ数年で化粧品メーカーのSDGs対策は強化。原料のみならず、パッケージや外箱、印刷や物流まで、サステナブル化されていることご存じでしょうか?

たとえば、商品をよーく見るとわかるのですが、紙箱やショッパーにFSC認証マークをみつけたら、それは環境に配慮された木材を使用しているということ。環境に配慮している証明となります。オーガニック認証マークと同じ感覚ですね、イプサやイグニスジョンマスターオーガニックをはじめ、多くのブランドがFSC認証のものに切り替えはじめています。

また、商品の一部に再生ガラスを採用するランコムや、マイクロプラスチック&紫外線吸収剤フリーのエトヴォス、製品ボトルの回収をスタートさせたコスメキッチン(「リサイクルキッチン」)やSHIRO、植物由来のバイオマス容器への変更を進める肌ラボ、店舗を100%自然エネルギーでまかなうニールズヤードや、洗い流す製品の生分解度(排水が自然に還る指数)90%を死守するメルヴィータに、異業種とのコラボによって新しい自然素材を開発したポーラなど、意識の高い化粧品メーカーはいち早くエシカル、サステナブルに大きくシフトしているのです。

そんな背景を知れば、ユーザーである私たち自身も、手に取る商品をどう選び、どう使うか、見直すべきだと身が引き締まりますよね。ただ、どんな製品を選んでも、まずは、すべて使い切ること、それだけは間違いないと思っています。

新型コロナウイルスで大都市が封鎖、産業がストップしたことでCO2排出量が大幅に減少しているという皮肉なニュースが到着。一方で、ディオールやゲランなどを配するLVMHグループが香水の生産ラインを消毒ジェル用に稼働、フランス医療機関に寄付するといった清々しいニュースも続々。ロレアルやロクシタン、クラランス、そして日本では資生堂やコーセーなども消毒ジェルの開発や医療現場への提供など続々参戦していると聞きます。

化粧品メーカーの多くが再生とクリーンな取り組みに関わっているという嬉しいニュースに、“明けない夜はない”、そう励まされるのと同時に、「未来をつくる消費」と向き合い、使い手としての責任も果たしたい、そう強く思うのです。

構成/川端里恵(編集部)

 

前回記事「婦人のファッションは「テクノロジー」を取り入れるとうまくいく【大草直子】」はこちら>>