今観たい、良質なドキュメンタリーも大充実!
細谷 配信系は幅広いジャンルのドキュメンタリーも揃っているんだけど、どれを観ようか迷っちゃうこともあって。
よしひろ Netflixオリジナルのドキュメンタリーは、役に立つものも多いわよね。テレビやネットからの情報だけだと不安しかないし、娯楽ばかりに走ると今度は現実が見えなくなりそうで、今はちょっと硬派なものがいいかなと思ってる。なので、あたしは調整役として『ブラジル 消えゆく民主主義』みたいな社会派ドキュメンタリーをぶっこんでます。
細谷 アカデミー賞で長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた作品だね。
よしひろ 映像作家のペトラ・コスタ監督がブラジルの指導者にも取材をして完成させた作品なの。Netflixはドキュメンタリーもお金をかけて長期間取材してるから、NHKスペシャルを10本くらい観た感覚になれる。Amazonプライムなら『一人っ子の国』かな。中国の一人っ子政策のゆがみを告発するドキュメンタリーなんだけど、それを作ったのがまさにその世代でアメリカに移民した人の娘っていう。辛辣です。
細谷 『パンデミック 知られざるインフルエンザの脅威』とか、ウイルスについての知識を得られる、今観るべきドキュメンタリーもあるね。
よしひろ まさに今のパンデミックを追った新作リミテッドシリーズ『“新型コロナウイルス”をダイジェスト』は、1エピソードずつの配信だけど、1話26分でめちゃくちゃわかりやすい内容。エピソード1は、その名も「今起きているパンデミック」!
細谷 話題の『コンテイジョン』と合わせ技で観るといいかもしれない。
よしひろ 『コンテイジョン』のウイルスはSARSをモデルにして作られた映画だから、そりゃ今の状況と似てるわなって話なんだけど、コロナはあそこまで致死性は高くないじゃない。だから不安を煽られそうな人は、こういうドキュメンタリーも観るといいんじゃないかな。
気分転換にぴったりなのはやっぱりコメディ!
細谷 私は笑って気分転換したい時には、やっぱりコメディをセレクトしちゃう。
よしひろ 青春系とか下ネタ系とかね(笑)。
細谷 スタンドアップコメディアンのアリ・ウォンのえぐい笑いにハマってるの。『アリ・ウォンのオメデタ人生?!』では大きなお腹でいきなり性感染症の話をするし、『アリ・ウォンの人妻って大変!』では子育てからフェミニズムまで独特すぎる切れ味鋭いトークが炸裂。人を選ぶ下ネタもあるけど、彼女を見ているとたくましすぎて謎の元気が出てくる(笑)。
よしひろ 彼女が主演の『いつかはマイ・ベイビー』、大好きなんだよね〜。
細谷 私も大好き! 幼なじみが大人になって再会する話なんだけど、ヒロインの恋人役でちょろっと出てくるキアヌ・リーブスも最高! 本人役で出てきて、こんなことまでやっちゃうの!?って好感度がさらに上がった(笑)。
よしひろ ママたちの奮闘を描く『バッドママ』、結婚前夜の大騒ぎが題材の『ラフ・ナイト 史上最悪!?の独身さよならパーティー』も笑ってすっきり系のおすすめコメディ。
細谷 Netflixはプラスサイズのヒロインが王道ラブコメの世界に迷い込む『ロマンティックじゃない』、男女の立ち位置が入れ替わる『軽い男じゃないのよ』とか、常識を反転させた作品も充実してるよね。
よしひろ Netflixはなんでもとりあえず試してくるから、こちらもお試し気分で観るのがいいわよ(笑)。
細谷 新作も続々と配信されていて、追いつけてない……!
よしひろ あたし、新作では『ラブ、ウェディング、リピート』がおすすめ。なにげにサム・クラフリン主演で、英国ガチ勢に喜ばれる辛辣な恋愛群像劇よ。ガーデンウェディングの席で参列者同士がドッタバタ。懐かしい空気感で、しかもオチは爽やかなの。
細谷 いいね、鉄板のウェディングもの。引きこもり生活が忙しくなりそうだわ…!
構成/片岡千晶(編集部)
前回記事「「ミニシアターは廃業の恐れも」映画界への深刻な影響とあなたができること」はこちら>>
文筆家 長谷川 町蔵
1968年生まれ。東京都町田市出身。アメリカの映画や音楽の紹介、小説執筆まで色々やっているライター。著書に『サ・ン・ト・ランド サウンドトラックで観る映画』(洋泉社)、『聴くシネマ×観るロック』(シンコーミュージック・エンタテイメント)、共著に『ヤング・アダルトU.S.A.』(DU BOOKS)、『文化系のためのヒップホップ入門1&2』(アルテスパブリッシング)など。
ライター 横川 良明
1983年生まれ。大阪府出身。テレビドラマから映画、演劇までエンタメに関するインタビュー、コラムを幅広く手がける。男性俳優インタビュー集『役者たちの現在地』が発売中。twitter:@fudge_2002
メディアジャーナリスト 長谷川 朋子
1975年生まれ。国内外のドラマ、バラエティー、ドキュメンタリー番組制作事情を解説する記事多数執筆。カンヌのテレビ見本市に年2回10年ほど足しげく通いつつ、ふだんは猫と娘とひっそり暮らしてます。
ライター 須永 貴子
2019年の年女。群馬で生まれ育ち、大学進学を機に上京。いくつかの職を転々とした後にライターとなり、俳優、アイドル、芸人、スタッフなどへのインタビューや作品レビューなどを執筆して早20年。近年はホラーやミステリー、サスペンスを偏愛する傾向にあり。
ライター 西澤 千央
1976年生まれ。文春オンライン、Quick Japan、日刊サイゾーなどで執筆。ベイスターズとビールとねこがすき。
ライター・編集者 小泉なつみ
1983年生まれ、東京都出身。TV番組制作会社、映画系出版社を経てフリーランス。好きな言葉は「タイムセール」「生(ビール)」。18年に大腸がん発見&共存中。
ライター 木俣 冬
テレビドラマ、映画、演劇などエンタメを中心に取材、執筆。著書に、講談社現代新書『みんなの朝ドラ』をはじめ、『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』ほか。企画、構成した本に、蜷川幸雄『身体的物語論』など。『隣の家族は青く見える』『コンフィデンスマンJP』『連続テレビ小説 なつぞら上』などドラマや映画のノベライズも多数手がける。エキレビ!で毎日朝ドラレビューを休まず連載中。
ライター 渥美 志保
TVドラマ脚本家を経てライターへ。女性誌、男性誌、週刊誌、カルチャー誌など一般誌、企業広報誌などで、映画を中心にカルチャー全般のインタビュー、ライティングを手がける。yahoo! オーサー、コスモポリタン日本版、withオンラインなど、ネット媒体の連載多数。食べること読むこと観ること、歴史と社会学、いろんなところで頑張る女性たちとイケメンの筋肉が好き。寄稿中の連載は、
「yahoo!ニュース」『アツミシホのイケメンシネマ』
「COSMOPOLITAN」日本版『女子の悶々』
「COSMOPOLITAN」日本版『悪姫が世界を手に入れる』
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映画ライター 細谷 美香
1972年生まれ。情報誌の編集者を経て、フリーライターに。『Marisol』(集英社)『大人のおしゃれ手帖』(宝島社)をはじめとする女性誌や毎日新聞などを中心に、映画紹介やインタビューを担当しています。