外出自粛規制で深刻な影響を受けている業界のひとつがエンタメ。
映画はほとんどの作品の公開が延期になり、ミニシアター系の映画館はその存続すら危ぶまれているといいます。
コロナ禍での映画業界の今を、コメンテーターとしても活躍するよしひろまさみちさん、そして私、映画ライターの細谷美香でお伝えしたいと思います。

 

細谷 まずは『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』の世界的な公開延期が決まって、それからは続々と……だったね。

 

よしひろ アメリカ西海岸、続いて東海岸もロックダウンしてしまったことで、ハリウッド作品の本国公開が全部延期になって。

細谷 よしひろさんが早めに試写を観て感動していたディズニーの『2分の1の魔法』から『ムーラン』『ブラック・ウィドウ』、ユニバーサルの『ワイルド・スピード』まで、メジャースタジオの作品が軒並み公開延期に。

よしひろ 夏の大作『ジャングル・クルーズ』にいたっては来年まで延びました。日本の映画界でいえば、今年50周年記念作で超絶気合いを入れていた劇場版の『映画ドラえもん のび太の新恐竜』の公開延期が決まったのが2月末。

細谷 もう遠い昔のようだよ……。『名探偵コナン 緋色の弾丸』も楽しみにしていたのに! 『燃えよ剣』『ヒノマルソウル』なども公開延期。なにせ“ゴールデンウィーク”は映画界から生まれた言葉だから、ヒットシリーズや大作の公開予定作がたくさんある時期だもんね。

よしひろ こんなことが起きるなんて誰も思ってなかったけど、こういう時こそ映画館で映画を観る楽しみを忘れさせないようにするのがあたしらの役目。

細谷 大きな劇場は体力があるけど、自粛開けに心配なのはミニシアターだよね。やっと映画館に行ける! と思った頃には劇場がない……、ってことになりかねないから。

よしひろ 国が何も補助してくれないし、音楽も含めて真っ先にライブエンタテインメントがヤラれたから、ミニシアター・エイド基金が立ち上がったね。

細谷 #SaveTheCinema 「ミニシアターを救え!」プロジェクトと連携しているクラウドファンディングだね。発起人は深田晃司監督(『よこがお』)と濱口竜介監督(『寝ても覚めても』)。

よしひろ さすがカンヌの申し子たち!

細谷 深田監督はもともと日本の文化予算の少なさについて声をあげていたから、今回も動きが早かった。

よしひろ 他の国の支援が早かっただけに、日本の遅れが目立つのよ。お恥ずかしいわ……。ミニシアターエイド基金にはそのほかにも是枝裕和監督(『万引き家族』)をはじめたくさんの監督や斎藤工さんら俳優さんたちも賛同して、広がりを見せているよね。当然、苦境に立たされている独立系興行の人たちも。

 
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