コロナ感染により先行き不透明な時代となり、「今後の経済はどうなるの?」「投資は続けていいの?」「家計はどうしたらいいの?」と悩んでいる方も多いのでは? そこで今回、お話を伺ったのが、日本で最も大きな規模のロボアドバイザーによる投資サービスを運営している「ウェルスナビ」代表の柴山和久さん。マネーコラムニストの西山美紀と編集部の片岡が、これからのお金との向き合い方について伺いました。
<今回お話を伺ったのは……>
柴山和久さん
「ウェルスナビ」代表取締役CEO。9年間、日英の財務省で、予算・税制・金融・国際交渉に従事。2010年より5年間、マッキンゼーにおいて主に日本の金融プロジェクトに従事し、ウォール街に本拠を置く資産規模10兆円の機関投資家を1年半サポートした。2015年に起業し現職。2016年、世界水準の資産運用を自動化した「ウェルスナビ」をリリース。東京大学法学部、ハーバード・ロースクール、INSEAD卒業。ニューヨーク州弁護士。
――今回のコロナショックで、実際に投資をされている方からご相談はありましたか?
柴山和久さん(以下敬称略):はい、たくさんいただきました。特に多かったのが、「株価が下がっているときは積立をストップしたほうがいいですか?」というご相談です。
そのお気持ちは、よくわかります。株価が下がって、資産が目減りしていくのを見ると怖くなりますよね。ただ、こうしたご質問には、「いえ逆なんですよ」とお伝えしています。
それは、株価が下がっているときに積立をやめてしまうと、積立のメリットを得られないからです。株価が下がれば、それまでよりも安く買うことができます。安いときにしっかりと投資しておけば、その後に相場が回復すればリターンをより多く得られることになります。
ですから、相場を見て積立をやめるのではなく、そのまま続けていくことをおすすめしています。
リーマンショックのときを例にみてみましょう。アメリカの株価は半分ほどに下落しましたが、3年後には元に戻りました。もしもリーマンショックの直前、株価がとても高いときに積立を始めていたとしても、続けていれば、株価が元に戻った段階でプラスのリターンになっているんです。
なぜ、株価が元の水準に戻っただけで、プラスのリターンになったのでしょうか。それは、株価が下がった時期、つまり安い時期に積み立てで買い続けているからです。
反対に、金融危機が起こって株価が下がったとき、積み立てを一度やめてしまって、落ち着いたら再開するのはどうでしょうか。それは一見正しそうですが、よくよく考えてみると、積み立てのメリットがなくなってしまいます。
積み立てで安く買っている期間、相場がどんどん下がっていくときに「このままでいいのか」という不安と戦いながら続けるのは、つらいものがありますね。だからこそ、「自分は長期で運用をしているのだ」と、思い出すことが大切です。
――一時、金(きん)の価格が高騰していることも話題になりました。そのニュースを見て「これから金を買いたい」という方もいるようで……。
柴山:長期的な資産運用を考えるなら、さまざまな資産に“分散”しておくことが重要です。金(きん)に限らず、ある資産の価格が高騰しているときに、それをピンポイントで大量に買うのは、もったいないと思います。金について言えば株などと違って、本質的に価値を生み出すものではありませんから、あくまでも、資産の一部で購入するのがいいでしょう。リスクを減らすための“資産分散”という位置づけがいいと思いますね。
ウェルスナビでは、さまざまな資産に分散投資しているのですが、世界中の株や債券、不動産に加えて、金も一部入れています。今回のように株が大きく下がった場面で、金が上がっているので、分散でリスクを減らす効果を発揮していますね。
とはいえ、株価が高かったときには、お客様から「なぜ金が入っているのか」というお声もいただきました。しかし、結果的には、金が入っていて正解でした。今回金の価格が上がったことで、今は逆に「もっと金を入れてほしかったのに」というお声をいただくこともあります。その気持ちはわかりますが、短期的に「株がいい」「金がいい」ということではなく、長期的にさまざまな資産に分散しておくことが大切なんです。
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