いずれオリジナルのメイクアップアイテムを作りたい、と考えていたという佐藤さん。とはいえ何から手をつけていいのかわからないまま月日が経ち…実際にプロジェクトとして動き出すきっかけとなったのが、知人から「気が合いそう!」と紹介してもらったビューティライターAYANAさんとの出会いだったそうです。実際に手に取って試すことが難しいオンラインショップで、あえてメイクアイテムに挑戦した理由とは?
「メイクも暮らしの一部なんだ」だという気づき
佐藤:「メイクに興味はあるものの、化粧品は世にあふれていて、どれを選んでいいか分からない。誰かに自分にフィットした化粧品を見つけてもらいたい、と思うくらい切実な悩みでしたし、どこか遠ざけてきたところもありました。欲しいのは、肌質だけなく価値観やスタイルにあう化粧品。年齢を重ねていく顔を”良い顔つき”に見せてくれるアイテムがあれば……そんなことを考えていた頃、ビューティライターのAYANAさんに友人として出会いました。そして交流を重ねる中で、たまたまメイクのアドバイスをしてもらったことがあったんです。そのときにAYANAさんに『有名人で憧れの顔は?』『どういうイメージに見られたい?経営者風?』など、したいメイクの方向性をいろいろと聞かれたのですがうまくイメージできなくて…。それを見かねたAYANAさんが『じゃあ佐藤さん、お花好きだよね、こんな花みたいになりたいというイメージはある?』と聞いてくれて。そのとき“花壇をにぎわすパンジーやビオラのようなイメージ”と即答出来たんです。そして、そんな少ないキーワードからメイクしてもらった自分の顔が、すごく好き!と思えて。きれいになったというよりも、『自分の顔や好みにフィットしている』と心から思えたんです。今までつけたことのないブルーのアイカラーも、つけてみたら意外に似合っていて。そのとき『あぁ、今まで自分はメイクは分からないものと決めつけて遠くに置くことで、苦手意識と向き合わないようにしてきたんだな』と気づいたんです」
メイクを大好きな“花”でイメージすることで、自分の知らなかった顔を引き出してもらえた、という体験。この体験は佐藤さんに「メイクも暮らしの一部なんだ!」という気づきを与えてくれたそうです。
佐藤:「私が元々好きなインテリアを考えること、様々な種類の花を合わせて飾ったり、北欧の食器に和食器をスタイリングすることと同じように、メイクを考えても良いのかもしれない、“メイクも暮らしの一部”だと考えたら、メイクが楽しく上手になれるかも、と思えて。初めてメイクが自分ごととして腑に落ちた、エポックメイキングな体験でした。この方法論で考えれば、10年後はメイクがもっと上手になれるかもしれない、まだまだ上手くなれることがあるんだ!という喜びも感じて。わたしと同じようにメイクは半ば義務感でというお客さまがいるのなら、自分が味わったこの感覚をぜひシェアしたいと思い、本格的に動き出しました」
そうしてようやくオリジナルコスメ開発プロジェクトが始動。佐藤さんのなかで、“どんな顔になりたいかは、どんな暮らしをしたいかときっと同じ”という仮コピーを念頭に置き、いままで作ってきた雑貨と同じように、色やアイテムを組み合わせて展開できたら『北欧、暮らしの道具店』らしいコスメが出来るのでは、と考えたそう。
佐藤:「とはいえ、実際にコスメを作るのは初めてで、そこからも長い道のりでした(笑)。はじめは他社のコスメのトレンドを調べたりもしましたが、メイクの好みは人それぞれ。社内アンケートをとっても意見がバラバラ。そこである時から、企画メンバーの主観で作ろうと決め、AYANAさんをはじめ専門家の知見も借りて、1年かけて実際の商品に落とし込んでいきました。自分にびっくりしたり、そわそわしない顔になる、でもナチュラルすぎずミーハーな気持ちもちゃんとあって…雑貨みたいに試してもらえる発色を目指しました」
試作を繰り返し完成したのは、アイカラー5色とリップ3色。色数はあえて絞り、2色3色とそれぞれ組み合わせても楽しめるカラーリングに。
アイカラーは冒険色のグリーンが一番人気に!
佐藤:「アイカラーは、使いやすいブラウンや肌なじみの良いピンクに加えて、好奇心をくすぐる冒険色を入れたくて、グレーやカーキっぽいニュアンスのあるフォレストグリーンを入れました。また、ラメを入れること、その量についても自分たちが「ちょうど良い」と感じられる加減に最後までこだわりました。冒険色という位置付けで開発したフォレストグリーンだったので、他の定番色に比べるとどういう動きをするかドキドキだったのですが、実はフォレストグリーンが一番人気なんです。『冒険の気持ちで買ってみたけど、派手すぎず、今まで持っている色と違って嬉しかった』というお声も頂けて、お客さまに思いが伝わっている、こだわった部分に気付いてもらえたのがすごく嬉しかったです」
アイカラーとも相性の良いリップカラー
透明感のあるリップは、どれも発色が良く、アイカラーとの相性にもこだわった3色。可愛くなりすぎない「トーンアップピンク」は、ピンクを敬遠してきた方にもおすすめだそう。
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