料理レシピ投稿・検索サービス「クックパッド」の初期メンバーで、現在、コーポレートブランディング部・編集担当本部長を務める小竹貴子さんは、著書『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』(日経BP)の中で、「料理が得意」と語る……のですが、取材をすると、「正しく言えば、家のことは料理くらいしかできないんです」と笑います。
もともと専業主婦だった小竹さんは、36歳でクックパッドの執行役に。しかしその4年後にはその地位をあっさりと捨てて退職。そして44歳で再び同社に舞い戻ります。社長室で長女の寝かしつけをしたこともあったという類まれなるキャリアの道筋と、家事・育児の両立について聞きました。

 

小竹貴子さん:クックパッド株式会社コーポレートブランディング・編集担当本部長。1972年石川県生まれ。WEBディレクターを経た後、2004年に有限会社コイン(後のクックパッド株式会社)へ入社。レシピコンテストなどを考案し、2008年に執行役就任。日経ウーマンオブザイヤー2011受賞。2012年に退社し独立した後、2016年に復職。プライベートで料理教室を開催するほどの料理好き。

 


苦と思うことなく、堂々と「料理が得意」と言える――。そんな小竹さんの“料理マインド”ごと教えてもらえる著書『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』。筆者も実際に何品か作らせてもらい、おいしさと、応用の効く簡単さに驚きました。
そのレシピの秘密を小竹さんにお聞きすると、「子育てによって料理の工程を見直すことができたことが大きい」という言葉が。

「簡単で、なおかつ、おいしい。それが一番続く料理だと思いますが、簡単も手抜きというより、効率よく、手際よくできるコツって、本当にちょっとした工夫だけなんです。
たとえば朝に材料を切って冷蔵庫に入れておけば、帰って調理するのは5分で済む。この工程の分解は、子どもをシッターさんに預けていたからこそ鍛えられた考え方ですね」

2004年、小竹さんを含め3人しか社員がいなかったクックパッド(当時は有限会社コイン)に入社後、がむしゃらに働き、同社は2009年に上場。その3ヶ月前に長女を出産したことから、小竹さんの育児と仕事、そして料理のバランスを探る生活がスタートします。

「正直、仕事と家事・育児の両立は今でも全く上手にできてないです(笑)。娘2人は小学生になりましたが、シッターも積極的に利用しながら、できないことはできる人に任せながら、何とか綱渡りで過ごしています。
実は長女が生まれた時は、3月。保育園にも入れず、さらにクックパッドが株式上場前のとても忙しいときで、3ヶ月だけお休みをいただきましたが、その後、すぐに復帰しました。
哺乳瓶が使えない娘だったので、シッターさんと出勤して社長室をかり、寝かしたり、授乳することもありました。この1年は、貯金していたかなりの金額、軽自動車1台買えるくらいの金額をシッター代に使ってしまいました