『モテキ』の女性人気は生足とショートカットにあり

 

彼氏がいるのに、童貞男子を翻弄する小悪魔キャラ。女の私が見ても、きゅんきゅんするシーンだらけの、長澤独壇場だった。

 

この映画で長澤さんが、男性ファンだけではなく、女性ファンまで獲得したのには、2つの理由があったと思う。

まずひとつ目が、エロの表現が、胸推しじゃなくて、脚推しだったこと。この映画は主人公の目線追いのカメラワークが多いのだけれど、多くの場合、胸じゃなくて、そのすらっと長い脚にフォーカスされていた。これがね、色っぽいのに爽やかで嫌味がなかったよね。
美しい女性には、女性から憧れられる人と憎まれる人がいるのだけれど、ここで長澤さんは前者に躍り出た。

それからもうひとつが、ヘアスタイル。少年のようなショートヘアが、絶妙だった。
これが、ロングのウェーブスタイルみたいな色気むんむんヘアだったら、かなり感じ悪かったと思うんだ。でも、潔いショートヘアがクリーンでよかった。「悪女」っていう感じじゃなくて、あくまで小悪魔って雰囲気。頭のサイズもコンパクトになるから、長澤さんのスタイルの良さも、より際立たせていた。

この時、長澤さんのヘアスタイルをカットした美容師さんにお話を伺ったことがあるのだけれど、長澤さんはこの役にずいぶん賭けていたみたいです。
当時長澤さんは24歳。清純派路線からの脱却を、誰よりも意識していたのは、ご本人だったのかもしれない。
実際、このショートヘアにしてから、長澤まさみさんは女性たちの憧れアイコンとしてファッション誌に登場する機会が増えたし、長澤まさみさんヘアにしたい女の子たちのための企画が何本も組まれた。

新しい髪型が、その人を、次のステージに連れていってくれる。
長澤さんの『モテキ』でのキャラチェンジを見ると、それを強く感じます。


ヘアを味方につけて無双のオールジャンル女優に


ここからの長澤さんの活躍はみなさん、ご存知のとおりです。

 

カンヌ映画祭上映作品となった『海街Diary』(2015年)では、是枝裕和監督が「長澤さんにはエロスを担当してもらった」と言ったほど、美しいベッドシーンを演じた。
このときの髪はサイドパートのかきあげ系。作り込んでいないのだけれど、大人のフェロモンあったなあ……。

前回詳しく解説した『コンフィデンスマンJP』(2018年〜)では、超絶奔放な突き抜けキャラを再びのショートヘアで。

『キングダム』では山の民の王、楊端和を演じてアクションにも挑戦された。この時の髪は土ぼこりを感じるドライなヘアなのだけれど、乾き切った髪を振り乱して闘うシーンが性別を超越していて、カッコ良かったなあ。

いろんな女優さんの中でも、長澤さんはとくに、演じる役柄によってずいぶん髪型が変わる人でもある。
それは多分、ご本人がヘアスタイルの持つ力をよく知ってらっしゃるからなんだろうなあと思ったりします。

これからも、長澤さん、ならびに長澤さんのヘアチェンジを、追っかけしたいと思っています!
 

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それではまた、土曜日に。

イラスト/白ふくろう舎


【画像】篠原涼子、鈴木保奈美……ドラマヒロインの髪型を徹底分析!>>

前回記事「『コンフィデンスマンJP』を3倍楽しむ「長澤まさみコスプレ」勝手にランキング!」はこちら>>

 
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