いつまでも溌剌として、年齢を感じさせない雨宮塔子さんですが、実は今年で50歳に！ 人生100年時代として考えても、折り返し地点となる歳です。大きな節目を迎えるにあたり、現在はパリに拠点を戻されている雨宮さんに、現地にて撮影＆インタビュー。50歳になるということの意味、そして気になるフランスと日本の違いについても伺いました。
雨宮塔子
1970年12月28日生まれ。東京出身。成城大学文芸学部英文学科卒業後、1993年TBS（株式会社東京放送）に入社。バラエティ番組のアシスタントから、情報、スポーツ番組、またラジオなどでも活躍。1999年にTBSを退社し渡仏。フリーキャスター、エッセイストとして活動する中、2016年7月から2019年５月まで『NEWS23』（TBS）のキャスターを務めた。同年９月よりパリに拠点を戻す。一男一女の母でもある。『パリに住むこと、生きること』（文藝春秋）『パリ、この愛しい人たち』（講談社）、『金曜日のパリ』など、著書多数。現在は『雨宮塔子のパリ通信』（ニュースが少しスキになるノート from TBS）を連載中。
人生の後半戦でも、できることは沢山ある
12月28日に50歳となる雨宮さん。「ええ?! もうそんな年齢でしたか？」と驚くばかりですが、50歳になるということをどう受け止められているのでしょう。
雨宮：50歳、って数字で聞くとびっくりしちゃいますが、パリにいる50歳以上の日本人女性の友人たちって、皆本当に素敵なんです。たまたまフランスにいる人たちがそうなのか、その世代の女性が元気だからなのか、その辺りはよくわからないんですけれど、50代で新しいことを始めていたり、仕事をガラリと変えている人も。とにかくバイタリティに溢れている人ばかり。そういった姿を見ていると、第二の人生というか、人生の後半戦でも、もっとできることがあるという気がして、ポジティブな気分になれるんです。また、フランス語には、日本語でいう“近所のおばさん”のニュアンスにあたる「おばさん」という単語が存在しないように、いつまでも女として、どう成熟していくかが試されているところもあります。逆に、手を抜けないというしんどさもあるのですが、だからこそ「もういいじゃん、50歳なんだから！」ということにはならないんですよね。
フランス生活はやっぱり大変！ だけれど……
キャスターとしての仕事のため約３年間日本で暮らした雨宮さんですが、昨年からまたパリでの生活を再開。日本とフランスでは、やはり生活も大きく違いがあるようです。
雨宮：日本の便利さに慣れてからパリに戻ると、色々大変なことがもちろんあります（笑）。今年に入って引っ越しをしたのですが、コロナ禍でロックダウンの期間と被ってしまったことも相まって、工事が２か月ほど止まったり、ようやく再開されると急にドタキャンされたり。「◯時に来ます」と言われていたのに、1時間以上待っても工事の人が来ない……なんてこともざらでした。宅急便も、1日中自宅で待っていないと受け取れないんです。久しぶりで「ああそうだった、フランスって不便だったんだ！」と思い出しました（笑）。挙句に、再配達もしてくれないので、うまく受け取れないとすごく遠い集配所までこちらからピックアップに行かなくてはいけません。日本だったら配達の時間まで選べたりするのに……。フランスは、日本より“プロの仕事”で求められるものの基準が低いような気がします。色々なものが適当に済まされてしまいがちで、それは人種がバラバラなせいなのか、気質なのかわからないんですが、そこが残念だなと思います。
確かに、日本の生活に慣れると、パリでは不便を感じることが多いのかも……。では逆に、パリに戻って良かったと感じることはどんなことなのでしょうか。
雨宮：街を歩いているだけでリフレッシュできることですね。日本でももちろん散歩はできるけれど、東京はやっぱりビルが多いからか、風景的に余白というか、開放感を感じにくい気がするんです。それに比べると、パリは空が開けていて美しいな、と。視界が開けているからか、空の色の移ろいにも目がいきやすく、癒されます。また、パリは街がコンパクトなので、歩けちゃうし、歩きたくなるんですよね。３年ぶりに帰ってきてみると、色々なところがちょこちょこと変わっていて、「あ、新しいお店がある！」なんていう発見があるのも楽しくて。左岸に住んでいたこともありますが、ここのところはずっと右岸暮らしで、この地域のラフな感じを楽しんでいます。左岸に比べると、右岸の方が移民も多くて人種が本当にバラバラ。でも外国人がたくさんいるぶん、色眼鏡で見られることもなく、「フランスにいるんだからフランス人でしょ」という扱いをされる感じが、楽だなあと思ったりします。
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