そこにすっと立っただけで空気が一変する。シャッターを切るたび、くるくると変わるポージング。その伸びた背筋に、艶やかな脚に、吸い込まれるような微笑みに、たちまち誰もが心を奪われてしまう。
“クールビューティー”の代名詞として、私たちの憧れのアイコンであり続けるりょうさん。けれど、実際にお話ししてみると、クールというイメージとは真逆。ソフトな語り口に、自然と周りの空気も和らいでいきます。
ずっとコメディをやりたかった
「最近子どもが一緒にドラマを観るような年齢になったんですね。それで、『いつかママがいなくなったら、今までママが出た作品がいっぱいあるから、それを観てね』という話をしたんです。お芝居は、そのときそのときの自分を残せる仕事。それってすごくいい仕事だなと改めて思いました」
そう楽しそうに笑いながら、ふっと母親の顔を覗かせるりょうさんは、“クールビューティー”とはまったく別の、等身大の女性そのもの。りょうさん自身もパブリックイメージとはかけ離れた性格だと打ち明けます。
「私は人に笑ってもらえることがとてもうれしい性格で。お芝居を始めた頃からずっとコメディをやりたいと事務所に伝えていたんです。けれど、見た目がコメディじゃないと。確かにコメディをやるには技術が必要。私はまだ駆け出しで、そんな力もありませんでした。まずは自分の見た目に合った役からということで、最初の頃はクールな役が多かったんです」
モデルとして活躍してきたりょうさんの俳優デビューといえば、あの大ヒットドラマ『ロングバケーション』。“るう”こと氷室ルミ子を演じたりょうさんの存在感は鮮烈でした。
「『ロングバケーション』の撮影中は、うまくお芝居ができなくて毎日泣いていました(笑)。そもそもお芝居をやったことがまったくなかったので、撮影に入る前に事務所のレッスンを受けに行ったんですね。けれども、2〜3回目のときに事務所の方から『りょうは来なくていい』と言われてしまったんです」
りょうは来なくていい。そこだけ切り取ると、とてもショッキングな言葉ですが、実はりょうさん自身のポテンシャルを見抜いた上でのアドバイスでした。
「『りょうは個性で行け。だからみんなと同じような勉強はしなくてもいい』と、事務所の方は考えてくださったそうなんです。だから、何の基礎もわからないまま『ロングバケーション』の現場に入ってしまって。もう不安で不安でしょうがなかったです。毎回のオンエアも自分の演技に、本当に申し訳ないなと思いながら観ていました」
りょうさん、ブラックドレス×赤リップの妖艶な着こなし
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