家族とはきちんと話し合うほうがいいんですね。

例えば、以前、両親と暮らしていた頃の、こんな経験があります。私の母は、私が部屋のドアを閉めて一人で何かをやっているのをすごく嫌がったんですよね。すごく疎外感を感じて、「部屋のドアを閉めるのは、心のドアを閉ざすことだ」と誤解してしまうんです。それで「私には一人の時間が必要なんだ」ということをとことん話しました。家族とはいえ性格や生活スタイルが違う相手との妥協点を見つけるのはすごく難しいんですが、相手の立場に立って話せば伝わっていくと思います。例えば相手が社交的な人なら「お母さんが外で人と会うのが好きなのと同じで、私は一人でいるのが好きなの。だからお互いに邪魔しないようにしようよ」という感じで。

 


最終的にはとことん話し合うとしても、それ以前に、相手の気持ちを察するために、なにか気をつけられることもあるような気がします。例えば子供からの「サイン」のようなものとか……。

「察する」という発想自体が、そもそもちょっと危険だと思います。話してみなければ、相手の気持ちが分かるはずがないんですよ。例えば子供のふとした一言とか、ちょっとした態度から「きっとこうだろう」と推測する、その過程には親の個人的な考えや価値観が介在するわけですから、それが子供と同じであるはずがないんです。

私の例で言えば、例えば朝起きてきて表情が暗い時、理由はそのときどきでいろいろありますよね。仕事が忙しいとか、友達と喧嘩しちゃったとか。でもそういう時、「具合が悪いんでしょ?」と決めつけて聞いてくる母に、私はすごくもどかしさを覚えていたんです。「ああ、私は自分の体調や自分の考えすら、自分で決められないのか」という感じで。でも「どうしたの?何かあったの?」と聞いてくれたら、そこからの会話で伝えることができますよね。それ以外の方法で相手を理解するのは難しいと思います。

思春期の子供と会話を持つのは難しい部分もありますが、携帯メールを送ったり、手紙を書いたりして、まずは子供を知ろうとする努力が必要じゃないかなと思います。そして子供が何かを言ってきてくれた時には「そうだったんだね」とただ受け入れてあげることですよね。