頭を使い続け経験を積むことで、「知恵」が豊富になる
また同研究の中で、認知機能が低下した参加者の一部で、認知トレーニングの介入が行われましたが、介入が行われた方たちには、一定の認知機能の回復が見られたことも報告されています。このことから、認知機能の低下の主要な原因の一つは「頭を使わなくなること」にあり、頭を使うようにトレーニングをすれば、回復しうることも伝えています。
もちろん、病気による変化など、個々人の事情は鑑みる必要があるものの、人の脳は加齢とともに成長し、またトレーニングによってそれを維持できる可能性があるのです。
また、年齢を積み重ねる中で得た「経験」は何事にも変えがたく、それが知恵となって衰えた部分を補う役割も果たしてくれます。私も医学論文を読むことが好きで、誰にも負けないほど日々知識を獲得しているつもりですが、それでもなお、年上の上司にはまだまだ勝てないと思うことばかりです。経験から得た知恵というのは、いくら勉強しても勝ることのできない大きな力になるのだということを感じさせられます。
参考文献
1 Schaie KW, Willis SL, Caskie GIL. The Seattle Longitudinal Study: Relationship between personality and cognition. Aging, Neuropsychol. Cogn. 2004. DOI:10.1080/13825580490511134.
*「5つのM」=アメリカの老年医学学会が提唱している、高齢者診療の指標
前回記事「生理的衰退とは...医師が語る「重度のフレイル」で亡くなった祖父への後悔」はこちら>>
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