世界的な映画賞に俳優や監督たちが怒りの「ボイコット」
アカデミー賞も終わり、アワードシーズンが過ぎ去った今、ゴールデングローブ賞がネガティブな意味で注目を集めています。トム・クルーズがトロフィーを3つとも返還したことは日本でも話題になったかと思いますが、それだけではありません。俳優や監督などをクライアントに抱えるパブリシスト(広報担当者)が一致団結してグローブに投票するハリウッド外国人記者協会(HFPA)をボイコットしているため、ハリウッドスターたちは事実上みんなHFPAと縁を切っているのです。
ボイコットをしている人たちが要求しているのは、HFPAが徹底的な改革をすること。そうしないかぎりボイコットは続き、グローブ授賞式を行っても誰もスターは来ず、番組が成り立たなくなります。
具体的にHFPAのどこがいけないのでしょうか? 大きくいうと、「人種差別、女性蔑視」「マナーの悪さ、プロ意識の低さ」「非営利団体であるにもかかわらず会員が多額の報酬を得ていること」です。
それらの問題の原因には、会員構成が影響しています。現在86人いるHFPAの会員の多くは年配者で、もうほとんど記事を書いていない人も多数。“特別の存在”(わが国からたったふたりしかいないうちの選ばれたひとり!というような自己満足をしたい)でありたいと願う彼らは、自分の国から新しい会員が入るのを断固として阻止しようとするため、若い人が入ってくるのが難しく、必然的にそうなるのです。
人種差別的、女性蔑視的な発言や行動に批判続出
つまり、価値観が古く、世の中の流れに付いていっておらず、そこから人種差別的、女性蔑視的な発言や行動が生まれます。スカーレット・ヨハンソンは、彼らの記者会見でほぼセクハラと思える質問を受けたと告白しましたし、黒人俳優中心の作品の監督やプロデューサーは、試写に来てくれなかったり、記者会見も断られたりしたと明かしました。作品を見てもらえないと投票してもらえず、候補入りできません。影響力を持つ賞なのに、スタート地点から差別され、不利な立場に追いやられているのです。女性蔑視に関していうと、彼らは会員の半分以上が女性であるのに、優秀な女性監督がいる年でも監督部門の候補が全員男性ということが多々あり、偏見だと批判されてきました(今年こそクロエ・ジャオが監督賞を受賞しましたが、彼女はこのアワードシーズン、断トツのフロントランナーだったので、それ以外はありえない状況でした)。
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