世の中にはいろいろな投資がありますが、「不動産投資」に関心がある人もいるのでは? ただ、株や投資信託などの投資に比べて、世の中の情報が少ないと感じている方、手を出すには躊躇してしまう、という方も多いでしょう。

実際に「不動産投資を始めようかな」と思った場合、失敗しないためにやるべきことが4つあるのだそう。今回は、住宅ローンソムリエ®であり、さらにアパートローンソムリエ®として、年間100名を超える不動産投資の個人相談も受けている中村諭さんに、マネーコラムニスト西山美紀が話を伺いました。

 

西山:これまでの記事で不動産投資で失敗するケースや、知っておきたいことについて伺いましたが、「不動産投資でうまく行っている人」にも共通点があるのでしょうか。

中村諭さん(以下敬称略):はい、不動産投資で「失敗しないため」にぜひやっていただきたいことを、以下4つお伝えしますね。

 


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① 「キャッシュフロー」をしっかり見る


中村:不動産投資でうまくいっている人の特徴は、「キャッシュフロー」をしっかり見ていることです。不動産賃貸業は、つまり「ビジネス」ですよね。ビジネスは、まずは「資金繰り」が大切です。

最終的には、借りたローンが全部返し終われば、あとは家賃収入があってお金が貯まる一方ですので、ローンを返し終わるまでの資金繰りがうまくいくことを第一に考える必要があります。

自分が投資した金額と、家賃収入、そして家賃収入からどれだけ支払いをするか、どんなローンを組んでいるか。その流れに問題がなければいいわけです。

例えば、「マンションを買って、利回り5%」という話だと、みなさん、どんなイメージかわかりますか。
2000万円投資をして、年間100万円の家賃収入(月約8万円の家賃)で、利回り5%ですね。ちなみに、この利回りは「表面利回り」といいます。

ここで、資金繰りについて考えてみます。
入ってくる家賃収入8万円があって、そこからさらに支払いがあるわけです。
でも、その8万円の中から、不動産投資の場合は、高いものでは金利4%くらいのローンの支払いがあります。
もしフルローン(頭金なしの全額ローン)で購入していたら、ざっくりとした計算ですが、残り1%しか利益がなくなって、その1%のなかから管理費や修繕費、火災保険料などの支払いがありますから、収支としては大変。これでは続かないでしょう。

もちろん、「節税目的」ならよいのですが、「投資目的」であれば、利益は出ない状況は、まったく理にかなっていないのです。

西山:自分の収入のなかで支出を収めつつ貯蓄もする、といった私たちの家計とも似ていますね。
ただ、不動産投資の場合は、基本的にはローンを組んでいるので、その金利も重要でしょうか。

中村:はい。先ほどは4%の例でお伝えしましたが、3%、2%、1%と、金利が低ければ、それだけ資金繰りがうまくいく可能性がありますね。

投資用不動産の販売業者さんは、金融機関といいお付き合いをして実績を残していれば、いい条件のローン(金利の低いローン等)を扱っている場合もあります。
ただし、「低い金利を扱っていれば、必ずいい販売業者さん」とは限らないので、さまざまな面から判断する必要があります。

西山:販売業者の「担当者の方」の考え方や誠実さなども、非常に大切ですものね。

中村:そうなんです、でも、事前に担当さんがいい方かどうかは、なかなか判断しにくいと思います。ここでもやはり、「不動産投資の本を、1年かけて100冊読むこと」に尽きますね。それくらい読めば、その道の“セミプロ”くらいにはなれると思いますから。

西山:物件は一つ一つ全く違うので、例えば、友人が「不動産投資っていいよ」といっていたとしても、その人にとってはいい物件でも、次に自分が買う物件が本当にいいかは、まったくの未知数ですものね。
同じ販売業者の同じ担当者の方だとしても……そこが本当に難しい。

中村:はい、不動産は、同じものが二つと無いですからね。

西山:これが投資信託だったら、みんなで同じ時期に同じものを買うことも可能ですが、不動産は、仮に同じマンションの一室への投資だとしても、同じ間取りでも、入居者も違いますし、まったく別のものですし、慎重に考えないといけないわけですね。

 
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