世の中にはいろいろな投資がありますが、「不動産投資」に関心がある人もいるのでは? ただ、株や投資信託などの投資に比べて、世の中の情報が少ない、手を出しにくいと感じている方も多いでしょう。
そこで今回は、住宅ローンソムリエ®であり、さらにアパートローンソムリエ®として、年間100名を超える不動産投資の個人相談も受けている中村諭さんに、マネーコラムニスト西山美紀が話を伺いました。

 

西山:中村さんは、不動産投資に関するご相談もたくさん受けていらっしゃると伺いました。私自身も小さな中古マンション一室の不動産投資を勉強をかねて行っているのですが、今のところ問題はないものの、ニュースなどではトラブルもよく耳にします。

中村諭さん(以下敬称略):はい、弊社では、すでに不動産投資をしている方で、ローンについてのご相談が多いですね。
ローンを見直して、よりよい金利のものはないか、という借り換えのご相談もありますが、「無理をして自宅を買ったのですが、その自宅を住宅ローンのままで、不動産投資として人に貸せないか」というご相談もあります。

住宅を購入する際に、「自分が住まなくなったら、人に貸して不動産投資にすればいい」と営業担当者に言われることがあるかもしれませんが、基本的にはNG行為。
以前はあまり問題にならなかったのですが、今は大問題になってしまうんです。

また「ローン返済が苦しくなって物件を売りたいけれど、なかなか売れない」と困っている方もたくさんいらっしゃいます。
不動産投資は、後から「失敗した」ということになると、金額も非常に大きく、最悪の場合は自己破産になってしまうことも。ぜひ、十分注意していただきたいです。

西山:では、不動産投資に失敗する人の共通点は、どんなことがあるでしょうか。

中村:はい、お伝えしていきますね。

 


問題1 不動産投資の「目的」がはっきりしていないまま始めた


中村:まず、不動産投資の「目的」がはっきりしないまま、始めてしまったケースです。

不動産投資は大きく分けると、「投資」か「節税」を目的にするケースが多いです。
「投資」とは、自分の資産を投じて、お金を増やしていくものですが、マンションを持ったことで思わぬ支出がかさみ、税金還付を受けて少しカバーしているということであれば、それは「投資」とはいえないですよね。

それなら、はじめから「節税」を目的として考える方がいいでしょう。
所得税は累進課税といって、所得が高ければ高くなるほど、基本的には税金が高くなる仕組みです。所得が高く、所得税と住民税をあわせて40%払っているような方が、節税目的で税金の還付を受けると考えるケースもあると思います。

また、将来の「相続」を目的とするケースもあります。相続税を減らすために不動産を購入するという考え方です。
それなら、手元のお金が減っていたとしても、目的は果たしているわけです。

ですが、なんとなく「投資」という目的で始めて、結局手元のお金が減っていれば、それは本来の目的とは違うというわけです。
 

西山:不動産投資というと「なんとなくもうかりそう」というくらいの気持ちで始める方も多いかもしれません。まずは「目的をはっきり」ですね。


問題2 「不動産投資=賃貸事業」だと、理解していなかった


中村:不動産投資は「賃貸」という事業をすることになります。
つまり、一つの小さな会社経営するようなもの。ですから、「経営者目線」を持つことが大切です。「株式投資」などとは違う視点が必要なのです。

西山:不動産投資というと、ワンパッケージになっていて、物件選びから、手配、その後のメンテナンス等、すべてお任せというケースを思い浮かべる人も多いと思います。ですが、一つの「事業」として考えると、自分以外の誰かに丸投げというのは、大きなリスクが……。

中村:そうですね。「丸投げでOK」だと思って不動産投資を始めてしまったら、それはかなりの勉強不足ですね。
「不動産投資」という“投資”ではなく、「不動産賃貸という事業を始める」という気持ちで始めましょう。

あなたの仕事と置きかえてみましょう。例えば転職アドバイザーの「この仕事がおすすめですよ」と言われるまま、何も調べずにいきなり転職することはないのと同じですよね。

 
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