「人を許すことが大切」の真意とは


「人を許すことが大切」だという言葉に込められている思いというのは、おそらく、「人を許せない人は、自分のことも許せないことが多い。だから、まずは自分を許せるようになることが大切。それが自分を愛することにつながり、人に対しても、許したり、愛したりできるようになる」という思想に基づいているのではないでしょうか。

 

「自分を許せない人は、人を許せないことが多い」というのは、どういうことなのかというと、人は “合わせ鏡”のようなものであり、相手の欠点で気になることは、自分にも持っていることが多いと言われています。そして、自分のその欠点を許せていないから、相手の欠点も許容できないことも少なくない、というわけなのです。

ケースバイケースではありますが、基本、「欠点と長所は紙一重」だと言われます。つまり、「大ざっぱな人」は「大らかな人」とも言えますし、「神経質な人」は「細やかなことに気づける人」とも言えるのです。
だから、自分の欠点を長所としても考えるようにできたとき、相手の欠点も長所に見えてくるところはあるかもしれません。

また、私自身、歳を重ねていくことで、自分よりも歳の若い人たちと話すと、良くも悪くも、「あぁ、自分の若い頃もこういう感じだったな」と思うことがあります。それがたとえ若さ故の視野の狭さや身勝手さであっても、「分かる!分かる!」と、どこか許せてしまうところがあるのです。
それは、私自身が、“若かりし頃の愚かだった自分”を少しずつでも許せるようになっているからかもしれません。
もちろん人に迷惑をかけることはよくないですが、「誰もが完璧な人ではいられないよなぁ」とも思うし、そう思えるようになると、自分自身、生きていくのが楽になっていくもの。
相手の性格の良いところも悪いところも理解した上で、「“こういう人”なんだ」と思って付き合っていくと、相手の欠点ですら面白く感じてくることもありますし、逆に、自分が人を許せるようになってくると、人からも許されやすくなっているような気もするのです。

さらに、「罪を憎んで人を憎まず」という言葉がありますが、相手が心から反省しているときは、許してあげることは、自分にとっての“大切な学び”となるもの。それが、親兄弟やパートナー、親友など、縁の深い相手であるなら尚更、持ちつ持たれつで、許し合っていくことで、絆が深まっていくところもあるような気がします。とはいえ、裏切り行為など、信頼を傷つけられてしまうと、回復は難しいこともあるので、時と場合に応じて、ではあると思いますが。

「人のことを許す」というのは、必ずしも簡単なことではないし、単に許せばいいわけではなく、ケースバイケースなところはありますが、その言葉の真意に沿ったケースにおいては、「許せること」ができるようになれば、心が楽に、そして幸せに生きていけるということなのでしょう。許すべき時に、許せる人でありたいものですね。
 

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