わずらわしい菩提寺や親族との交渉
墓じまいにためらいを感じる理由としては、親族のこともあげられるでしょう。
墓はそれぞれの家のものではありますが、墓じまいの対象となる地方では親戚づき合いということが重要です。
地方にある村社会で生活していれば、親戚や地域の人間関係が緊密なので、墓じまいをしようとすれば、意見を言われ反対されたり、干渉されたりする可能性があります。
しかし、墓じまいに至ったということは、すでにそうした人間関係が存在しなくなっているということでしょう。もうその地域とのかかわりはほとんどない。実家がなくなり、故郷でなくなれば、いくら自分の家の先祖の出身地であったとしても、そこを訪れることさえなくなります。もっと時間が経てば、そこには知っている人もいなくなります。あるいは、すでにいなくなっているかもしれません。
そうした面で、墓じまいをためらうことはもうありません。引き留められるとしたら、墓のある菩提寺ということになります。檀家を続けてほしい、そのように言われるわけです。
あるいは、「檀家を離れるというのであれば、離檀料を支払ってほしい」。そのように言われるかもしれません。
あらかじめ墓じまいについて調べていたとするのなら、離檀料を請求されても、驚いたりはしないでしょう。しかし、十分な知識がないと、急に離檀料を請求され、慌ててしまうかもしれません。
離檀料の額にもよります。以前は、高額な離檀料を請求されたという話をよく聞きました。なかには、150万円を請求されたという話も聞きました。しかも、複数のケースで150万円だったのです。
150万円にどういう根拠があるのかはわかりませんが、高額な離檀料を請求することで、墓じまいを思いとどまってもらおうという意図が働いていた可能性もあります。
ただ、現在では10万円前後に落ち着いてきているようです。管理料を1年で1万円として、その10年分ということが目安のようです。「それなら仕方がない」。それが、墓じまいをする側も、菩提寺も、納得できる額なのかもしれません。
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