新型コロナ治療薬はできている?
一青 新型コロナは、インフルエンザでいうタミフルのような治療薬がないことも不安の大きな理由です。現在の研究開発の状況はどのようになっているのでしょうか。
山田 治療薬に関しては、実は大きなアップデートがありまして、アメリカの大手製薬会社のメルクが「モルヌピラビル」という薬を開発しました。世界初の新型コロナウイルスの飲み薬で、発症から間もない時に1日2回、5日間飲み続けることで、重症化するリスクを50%ほど減らすことが臨床試験でわかっています。
先日、イギリスにて世界で初めて承認されたことが話題となりましたが、米国食品医薬品局(FDA)でも緊急使用許可の申請がなされていて、承認を受ける可能性が高いと思います。日本政府も承認申請されれば年内にも特例承認し、調達する方針だそうです。
これまで治療薬といえば、レムデシビルなどの注射薬しかなく病院でしか使用することができませんでしたが、モルヌピラビルは飲み薬ですから自宅でも治療が可能になります。入院せずに早い段階で治療ができるため重症化を抑えられる可能性が高まって、結果として入院患者を減らす効果も期待されています。
接種証明書、アメリカでは義務?
一青 アメリカやヨーロッパの施設やお店を利用する際に、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)のワクチン接種証明書や検査による陰性証明の提示が義務付けられていますよね。
山田 そうですね。日本では今のところ政府や自治体による接種証明書の義務付けにまではいたっていないようですが、私が住むニューヨークでは習慣化したといってもいいぐらいに生活に浸透しています。
証明書は初め、紙ベースでしたが、今はスマートフォンのアプリになっていて、アプリの画面を表示することで確認します。劇場や映画館、スポーツジム、それに飲食店においても接種証明書を提示しないと原則的には入ることができません。
また、国によって状況が異なるので他国はわかりませんが、アメリカではどの国から来る場合でも、入国時には接種証明書を提示する必要があります。
――日本から外国に行く際に発行してもらう接種証明書は紙の書類が一般的なようです。濡れたり破れたりすると困るので、撮影した写真を見せたほうがいいのかなと思っているんですが、それでも証明書として通用するでしょうか。
山田 実は日本からいらした方の接種証明書の写真を拝見したことがあるんですが、その写真でもお店は入店を許可していましたから、地域によるかもしれませんが写真だけで通用するところもあるかと思います。
ただ、最近は虚偽のワクチン接種証明書を発行するような国、ビジネスが出てきていて、真偽の確認が難しくなってきていると問題になっています。日本の場合、政府または地方自治体、医療機関等により発行された証明書が有効とされていますが、写真にしてしまうとますます偽物を捉えにくくなる可能性が考えられます。
そのためニューヨークでは、ワクチン接種証明書と顔写真付き身分証明書の両方を持っていって、名前とともに写真と実際の本人の顔が一致しているかというのを確認してから入場を許可するというような手続きも行われています。国によって事情が異なるとは思いますが、今後の大きな課題となってくるかもしれませんね。
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