「若者に教えてもらう」が当たり前の時代


――「そんなことも知らないんですか?」はグサッとくる言葉ですね。会社に行くのが憂鬱になってしまいそうです。

チップ氏自身もその時の心情を、「自分は“メンターン”なのか? 滅多にいない古代種のユニコーンみたいな?」と本書の中で吐露していますしね。それでも、IT以外のビジネスの仕組みやコミュニケーションの「知恵」を若者たちに伝え、最新技術に関する「知識」は若者たちに教えを乞い、メンター兼インターンを両立させながら仕事を進めていきました。チップ氏をはじめ本書に登場する40代以上の人たちは、たとえ自分が相手より二回り以上年下であろうと、先生と生徒は一方向ではなく双方向になり得るということを教えてくれます。

 

――こんなことを聞いたらバカにされるんじゃないか? という若者への保身や劣等感は、40代以上こそ捨てたほうがいいのかもしれないなと感じました。

うちの会社でも、TilTok動画の編集の仕方をZ世代の若手社員に教わっているベテラン社員がいるんですが、若手社員は「自分が先生役を務めている」分野があることで、ベテラン社員に「生徒としても質問しやすい」関係性ができるんですよね。若者に対して素直に教えを乞える新しい年長者とはつまり、役職の有無に関係なく風通しの良い円滑な組織を作れる人のことなのだなと、まさに実感しているところです。

 

デジタルネイティブ世代に丸投げしない


――「様々な世代が職場にいる状況は、価値観も働き方も違うからある意味ややこしい。でも異なる世代が交わらずにいると、若手も年長者も自分だけの知恵に囚われてしまう」。チップさんも本書でそんなことを語っていますね。

特に新しいデジタル技術の習得って、40代以上になると大変じゃないですか。デジタルネイティブ世代にお願いしたほうが絶対に早いけれど、「わかんないからやっといて!」と丸投げしてしまえばそこで関係性が断絶してしまう。ダメ出しをされてはじめは傷つくかもしれませんが、一緒に参加することがすごく大事だと思います。