韓国映画に必ずある3点セット。社会問題に、権力悪、そして愛
しかしこれは単に、巨大怪物を見て人間がワーワー騒ぐ怪物系パニック映画ではありません。社会問題と政府の暴挙、そして家族愛、それらが全てあり、映画を重厚なものにしているのです。
それはほぼ全ての韓国ノワールに共通する3点セット。ゾンビ映画にさえその全てがあります。つまり暴力と血のりばかりではない、必ずそこには腐敗した政府や司法、警察の不正のもとで起きている社会問題、それらに苦しめられる人々、しかし救おうとする愛が必ずある。家族愛ばかりではない、師弟愛、同志愛と言ったホモソーシャル的な愛が描かれるのです。
しかも多くが実話に基づいているところが凄いわけです。実話でなくても韓国ならば絶対ありそうな内容。ともかく大統領が任期を終えた途端に投獄されたり命を失うような国です。何があってもおかしくない背景の中で、事件や犯罪やいろんな出来事が非常に緻密に巧妙にテンポよく書かれているのですから、つまらないわけはない。
逆に、男女の恋愛はご法度のように入ってこない。韓流ドラマは恋愛だらけなのに。そこは役割が明快に分かれていて、とても韓国らしい采配ですが、余計な装飾がないうえに、展開が早い早い、息つく暇もなく物語が進んでいき、必ずどんでん返しや裏切りや意表をつく結末があって、ジ・エンドにて呆然。
これは癖にならないわけがないのです。
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