●転職前に知っておくべきこと④
今の会社の「出口」を知っておく
社内の人たちがどの企業から転職して来たのか、反対に辞めた先輩たちがどの企業に転職していったのかをぜひ把握してください。わかる範囲でリストアップするとなおいいでしょう。「○○さんが辞めるらしい」「○○部長が転職活動しているらしい」と聞いたら迷わずごはんに誘いましょう。同じ会社の人の転職活動は、自分のキャリアの可能性の宝庫です。
どんな転職活動をしているかだけでなく、「今は○○業界で、○○ができる人を求めているらしく、うちの会社よりいい年収だ」とか、「○○という会社が新規事業を始めるらしく、うちの競合になりそうだから、話を聞きに行ってみたらうちより成長の可能性が高そうだった」など、市場の状況などがリアルにわかります。情報を蓄積して、「次に自分が行けそうな会社リスト」を作っておきましょう。
これをしておくと、今いるポジションから、他の企業のどのポジションに転職できるのか、何よりも強い目安になります。転職のときには、星の数ほどある求人から転職先を探すことになりますが、このリストが最も強力な武器になるでしょう。
もちろん、個人の能力あってのことなので、一概にこの会社に入ったら次はあの会社にいけるということにはなりません。しかし、同じ環境にいた人が「次に行った会社」がわかることで、「次に自分が転職するときの出口」が見えるようになります。
闇雲に歩くより、地図があったほうが歩きやすい
いざ転職しようと思って情報を集めるよりも、前もって集めていたほうが、いい情報を多く持てます。こうして先回りして出口の選択肢を知っておくと、よりよいキャリアを考えることができるようになります。どんなことでもそうですが、出口が書いてある地図を持っている人と持っていない人では歩き方が大きく変わります。
また、働いていくうちに自分の向き不向きや、上司が変わったり、環境が変わったりなど、自分の置かれる状況も変わってくるかもしれません。そのたびごとに「もしかしたら、ほかの選択肢のほうが自分にとっていいキャリアになる可能性もあるかもしれない」と迂回ルートも視野に入れながら、地図を修正していきましょう。おおよそ、2年から3年後の自分を考えていくと、市場価値の高いポジションを目指せるようになっていくと思います。
著者プロフィール
moto(戸塚俊介)さん
1987年長野県生まれ。新卒で地方ホームセンターへ入社後、株式会社リクルートや株式会社スポットライト(現:楽天ペイメント株式会社)など複数社へ転職し、営業部長や事業責任者などを務める。会社員として働きながら、自身の転職経験を元にしたメディア『転職アンテナ』を立ち上げ、2021年4月に上場企業であるログリー株式会社へ事業を売却。現在はmoto株式会社の代表取締役を務める。著書『転職と副業のかけ算』(扶桑社)はベストセラーになり、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2020」にノミネートされた。Twitterのフォロワーは12.5万人で「本質的なキャリアや働き方がわかる」など、SNSでカリスマ的な人気を誇る。
『WORK 価値ある人材こそ生き残る』
著者:moto(戸塚俊介) 日経BP
1650円(税込)
現代では「安定した企業」はもはや幻想。では、本当に「安定」した働き方とは? それは「仕事に探される人」になること! 「“給料”はもらうものではなく稼ぐもの」「会社名は錯覚資産」「“意志”のない受け身の人間は、いつまでも仕事ができない」など、SNSで絶大な支持を集める著者が“自身の経験”を元に導き出した、「自分だけの価値を高める70の考え方」を伝授。
構成/金澤英恵
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