しゃっくりの仕組みを医師が解説


山田 しゃっくりというのは、人間の意識とは関係なく無意識に起こるもので、横隔膜という場所で起こっています。

横隔膜というのは胸とお腹を隔てる膜状の構造物で、呼吸をするための筋肉です。
この横隔膜が縮むと肺が広がり息を吸い込める、緩んで上に押し上がると肺を縮めて息を吐き出す、という仕組みになっているんですね。ただ、その動きが制御できず、横隔膜が突然収縮してしまうことがあるんです。

突然収縮してしまうと、肺が急に広げられ、息を吸いたくないのに無理やり息を「吸いこまさせられる」状態になるんですよ。
急に息を「吸い込まさせられる」と、空気が入ってくるのを止めようとして空気の通り道にある声門と呼ばれる蓋を閉めるのですが、この蓋が閉まるときに、しゃっくりの「ヒッ」という音が出るんです。この一連の動きをしゃっくりと呼んでいるんですよ。

 

碓氷 あの「ヒッ」というのは、空気の通り道を閉じる音だったんですね!

山田 そうなんです。このように、しゃっくりとは横隔膜という場所で起こっている問題なのですが、この動きがなぜ、そしてどのような意味があって起こるのか、というのは実は良く分かっていないのです。

一説によると、お腹の中にいた赤ちゃん時代の名残だと考える学者さんもいます。赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる時って羊水の中にいるので、空気を吸い込んだり吐き出したりしないでも生きていけるじゃないですか。でもお腹の外に出てきたら横隔膜を使って自分で呼吸しなきゃいけなくなりますよね。

なので、まだお腹の中にいる間に呼吸の訓練をするため、意識とは無関係に横隔膜を縮めたり緩めたりする動きがプログラムされていて、その名残が大人になっても残っているのがしゃっくりなんだ、という考え方です。

碓氷 なるほど。そんな考え方があるんですね。ただ、しゃっくりが僕の人生からなくなっても大きな問題はないような気がします。

山田 そうですね。しゃっくり自体、基本的にはあまり問題がないのですが、「寝れない」「呼吸がつらい」などの症状が出てしまうこともあります。特に背の高い男性に多いという研究報告もあるんですよ。

碓氷 背の高い男性はしゃっくりが多いとは!
あと、昔、都市伝説で「しゃっくりを100回すると死ぬ」という話がありましたが、これはどうですか?

山田 知りませんでした(笑)。しゃっくりは100回しても命に別状が出ることはまずないので、ご安心ください。ただ、しゃっくりが非常に長く続いてしまっている場合には、少し注意した方がいいです。

碓氷 それはなぜですか?