コロナ禍の影響で仕事のオンライン化が加速するとともに、テキストコミュニケーションの重要性が増しています。仕事のやり取りは、ほぼメールか「Microsoft Teams」や「Slack」といったビジネスコミュニケーションツールで、実際に会ったことがない、話したことがない人との業務も増えているのではないでしょうか。今回は、あらためてテキストコミュニケーションと発信の本当の目的についてお伝えしたいと思います。

 
 


いいところは変わらない、悪いところは変えられる


ここまで45回にわたって、文章の書き方やWEB発信のコツをご紹介してきました。「のですが禁止令」「ということを削る」「下げて上げるをやめる」など、こういうことを意識してリライトすると読みやすい文章になりますよ、という話が多かったですね。「じゃあどう書けば上手くなるのか」、「あれもダメ、これもダメ言いやがって、自由に書かせろ」といった反響も結構あったんです。

私が悪いところだけ指摘して、こう書くと文章が上手く見えるOK事例をあまり提示しないのには理由があります。読みにくい、誤解を生みかねない“書き方の悪いクセ”は意識すれば変えられます。意識すべき推敲ポイントを知ってるか知らないかの差だけだからです。

でも「この人の褒め方は、いつも絶妙に核心をついくてるなあ」とか「例え話が秀逸だよね」、「文末の語尾での距離の詰め方が上手いな」などの“良いほうの個性”は、その人固有のもの。誰かから借りてきても自分の血肉にはならないし、私が「こう表現しては?」と書き直しても、その人のキャラクターや本音と合っているとは限らないんです。

こんな連載を熱心に読んでくださっている方は、たぶんすでに文章に“良いほうの個性”があるタイプの方で、コメント返信ひとつとっても「◯◯さんは上手いこと返すなあ」って周りの人から思われてる人なはずです。だから、その個性は自覚して強みとして伸ばしてほしい。(個性や強みの伸ばし方は『「役に立つ」だけじゃない。自分の個性や強みを活かしてファンを作る』の回を>>

そうやって執筆や発信を続けていると、ここが私の良い個性と気づく瞬間があると思います。それでも、これでいいのかな、自分らしい、自社らしい発信ってなんだろう……などと悩んだときの指針をご紹介します。