歌唱力と声量に圧倒され、演歌のレベルの高さを見せつけられる
下からせり上がって階段の上に登場する氷川きよしは、まさにスターのオーラを放っていました。そして専任の司会者でファンにはおなじみの西寄ひがしが完璧なタイミングで曲紹介を入れて、ムードを盛り上げます。「箱根八里の半次郎」「大井追っかけ音次郎」や新曲「群青の弦」など、次々とヒット曲を歌い上げる氷川きよし。その歌唱力と声量に圧倒され、演歌のレベルの高さを見せつけられます。最近ポリープの手術をしたとはとても信じられません。
もちろん「きよしのズンドコ節」も歌ってくれました。「きよし!」と声援を入れていたところ、今は「パンパンパン!」と拍手するようになっていて、お客さんはペンライトを振ったあと矢継ぎ早に拍手して忙しいです。脳トレになりそうです。
さらにプロ意識を感じたのは、お客さんをホメる話術です。拍手に対しても「いい音!」「手の振り方が完璧!」とホメて、和やかな笑いが巻き起こっていました。22年の芸歴で熟成されたこなれトーク。「老若男女幅広い方に来ていただいて。いろんな人種の方、愛がある方に集まってほしいです」とおっしゃっていたのはジェンダーの枠にはまらない人や若い世代に向けてのメッセージでしょうか。また、公式グッズのセールストークの際にはキーホルダーのチェーンのことを「この金玉みたいなの」と形容したり、クッションのことを「尻しき」と表現したり、天然トークで客席は温かい笑いに包まれました。
和服やスーツなど定番の衣装を披露したあと、アンコールではポニーテールにストライプのパンツスーツというモードな出で立ちに。衣装替えして1曲目、あまりの美しさにフリーズしたのか最前列の重鎮ファンみたいな方々はペンライトを振るのを忘れているようでした。女性としても、氷川きよしの美しさは良い刺激になります。演歌だけではなく、バラードやロック調など自在に歌いこなしていました。
氷川きよし公式Instagramより。今回の「氷川きよしコンサート2022in明治座」のアンコールの衣装をまとい、イケメン旗振りバックダンサーたちと。
そして「一つ上の次元に行けるような世界を皆さんにお見せしたいと思っています」と、次元上昇への思いを語りました。氷川きよしは、歌で人々を導く精神的なリーダーでもあるのかもしれません。個人的には、この年齢になると演歌が心に沁みるのを実感。過去の辛い思い出が、演歌の情景に感情移入することで、歌声の力で成仏していくのを感じました。ファンの心身のストレスを解放することで、長生きして、末永くファンでいてくれる……そんなポジティブな循環ができているようでした。ぜひまた悲しい思い出を浄化するために伺いたいです。
(次回、経済のプロがなめ子さんに資産形成レクチャー!)
構成/露木桃子
前回記事「「ひとりベルバラ」ができるのは日本では氷川きよしだけ【特別公演観覧レポート前編】」>>
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