「過去と他人は変えられない」。これは果たして本当でしょうか?【産婦人科医・高尾美穂】_img0
 

温かな言葉に癒やされると話題の産婦人科医、高尾美穂先生の新刊『大丈夫だよ 女性ホルモンと人生のお話111』(講談社)が発売になりました。新刊から、女性の体や心の悩みに安心と解決法を与えてくれるお話をひとつご紹介します。

 


過去は変えられない、他人は変えられない、
なんてことはないんです

「過去と他人は変えられない」。これは果たして本当でしょうか?【産婦人科医・高尾美穂】_img1
 

「過去と他人は変えられない。変えられるのは未来と自分自身だ」という言葉があります。

これは1950年代に活躍した精神科医エリック・バーンの言葉です。
人は考える能力を持っているので、これから先の人生と自分は変えられるということで、直接的に変えられない過去と他人のことにフォーカスしても問題の解決に至らないというような意味です。

これはまったくその通りで、もうすでに起こってしまったことにとらわれるのでなく、これから先のことを考えたほうがいいということは確かにそうだと思います。
でも、過去は本当に変えられないのでしょうか。

「過去と他人は変えられない」。これは果たして本当でしょうか?【産婦人科医・高尾美穂】_img2
 


自分の未来にプラスの反映ができれば、過去のとらえ方は変わる


もちろん起こってしまった出来事は事実として変えられません。
でも、その出来事が、自分にとってプラスになる考え方や、気づき、学びなどをくれて、自分の未来の行動にプラスの反映ができたなら、過去のマイナスな出来事のとらえ方を変えることはできます。

そう考えると、「過去は変えられる」と思ってもいいんじゃないでしょうか。

たとえば、過去にいじめられた経験がある場合、それが元で人の気持ちをくみとれる優しい人になることもあると思いますし、それをビジネスに繫げたり、今同じような経験をしている人を救う活動をしたりする人もいると思います。

その場合、過去の出来事の解釈が変わりますよね。

そして、それを変えられるのは自分自身です。油絵のように過去を上からどんどん新しい絵の具で塗り替えていくイメージです。

一方で、「未来は変えられる」と言いますが、今はいつ何が起こるかわからない時代で、たとえばどんなに緻密な積み重ねをしていても、大地震が起きて事態がひっくり返るようなことも起きるので、「未来は読めない」とも言えます。

ですから、こうでなくちゃいけないといった型にはめた未来だとつらくなるので、未来に対してはこうであったらいいなという大まかなイメージを持って過ごすといいように思います。

 
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