大きな選択をした後、「選ばなかったほう」に思いを巡らせていませんか?【産婦人科医・高尾美穂】_img0
 

温かな言葉に癒やされると話題の産婦人科医、高尾美穂先生の新刊『大丈夫だよ 女性ホルモンと人生のお話111』(講談社)から、女性の体や心の悩みに安心と解決法を与えてくれるお話をひとつご紹介します。

 


選ばなかった選択肢は 
忘れちゃうくらいがいい

大きな選択をした後、「選ばなかったほう」に思いを巡らせていませんか?【産婦人科医・高尾美穂】_img1
 

私たちは人生の中で、大きな決断を迫られるときがあります。

たとえば、30代後半の女性で、「3人目の妊娠にトライするか、昇進を選ぶかどちらか迷っています」という悩みを抱えている方がおられました。
このような場合も、大きな決断と言えると思います。  

こんな場合に私がまずお伝えするのは、どちらかを選ぶのでなく、欲張って両方取りに行ったらいかがですか? ということです。

本当に必要な人材だったら、3人目 の妊娠・出産をして、昇進していくことも可能だと思うので、それにトライしてみるのもいいですよね。

ただ、現実的には、30代後半という年齢を考えると、タイムリミットがある妊娠のほうを優先することになると思いますし、または、パートナーと3人目をどうするかをもう一度よく話し合ってみることも必要だと思います。

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もう一方のほうを選んでいたら……と考えても、それは妄想に過ぎない


そしてもうひとつ気をつけたいのは、こういったどちらか一方を選ぶ決断をするときに起きやすいのが、選ばなかったほうへの思いを残すことです。

何かを選ぶということは同時に、何かを選ばないということでもあるので、選ばなかったほうを失うこともあります。

このような場合、後から、「もしあのとき、もう一方のほうを選んでいたら、どうなっていただろう」などと考えてしまいがちです。 

たとえば、この女性が、3人目の妊娠・出産のほうを選んだとして、産休中にキャリアの道から外れてしまった場合、あのとき昇進のほうを選んでいたらどうなっていただろうと後悔をするかもしれません。

でも、もう一方のほうを選んでいたらどうだっただろうと考えても、それらはすべて想像や妄想にすぎません。 

たとえば、昇進のほうを選んだ場合は、後から、3人目を産んでいたらどうなっていただろうと考えてしまうことがあるかもしれませんが、妊娠中に流産してしまった可能性もあるように、本当に可能性はいろいろなので、自分が選ばなかった選択肢に思いを巡らすことって意味がないと思うのです。 

 
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