温かな言葉に癒やされると話題の産婦人科医、高尾美穂先生の新刊『大丈夫だよ 女性ホルモンと人生のお話111』(講談社)から、女性の体や心の悩みに安心と解決法を与えてくれるお話をひとつご紹介します。

 


理想の自分を手放すほうが
楽になれるときもある

 

職場で、大変な仕事ばかり頼まれたり、たくさんの仕事をこなしたりしているうちに、知らず知らずストレスがたまってしまい、あるとき、うつやパニック障害など、何らかのメンタルの病気になってしまうことがあります。

こういったことは、真面目で頑張り屋の人ほど陥りやすいとも言えます。
なぜなら、真面目だからこそ、自分ができることはちゃんとやりたい、人の役に立ちたい、頑張る自分でありたいという理想像があって、その理想が高いので、本当に頑張りすぎてしまうからです。 

 


不調があるときは、できるだけ楽に働くようにすることが大切


自分が心も体も絶好調のときなら、頑張って自分の能力を発揮して、人からも認めてもらうということは大切なことだと思います。

でも、メンタルや体の不調を感じているようなときは、何かを手放すことも必要だと思うのです。

具体的に言えば、自分がこうありたい、こういう働き方をしたいという理想像を手放すということです。
心や体に不調があるときは、こうありたいという自分を少しずつ諦めて、できるだけ楽に働くようにすることのほうが大切です。

楽に働くことを、〝手を抜く〟〝器用にずるく抜け道を探す〟というふうにとらえると、よくないことのように思うかもしれませんが、そうではなく、頑張りすぎず、今の自分に合った働き方をするということ。
そういう開き直りがあってもいいと思うのです。 

真面目に完璧を追い求めて働き続けていてメンタルの不調をきたしたのなら、そのまま続けるとまた同じことが起きてしまいます。
自分が体や心を壊してしまったら、意味がありません。

 
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