フランスでは年間300万人も鬱病を発症すると言われており、これは太陽の光が足りないことが原因のひとつとされているそうですが、それもわかるなってほどに毎日が暗い。暗すぎる。さらにその冬が長い。パリに来て最初の年は、6月になっても曇り続きでコートが要るというほど寒くて、慄きました。
そんな冬を過ごすと、もはや太陽が尊いのです。ものすごく。紫外線をちょっとくらい浴びることになっても、それが肌老化に繋がるかもしれなくても、このキラキラ輝く日差しを楽しみたい。なんならポカポカしたい。そんな風に気持ちが激変しました。
そして恐る恐る受け入れてみたら……あれ? 思っていたより太陽を浴びて過ごすのは気持ちがいい。そう思うと同時に、この心地よさを振り切ってまで、若さに固執しないといけないのだろうか? と言う疑問がむくむくと湧き上がりました。この先何十年か後にちょっと若々しい肌であることで、「あの夏我慢したおかげだわ、幸せ〜」 と思うのかな。いや、そんなわけないだろー、と。うーむ、美容ライター失格ですね。でもそう思ったら、肌が老化することへの恐怖心が和らいで、心がグッと軽くなったのです。
もちろん、フランス人の日焼けっぷりに感化されたところもあるかと思います。もうだって、皆本当に焼けている。シワやシミができてもお構いなしで「隠すためには、また日焼けしなくちゃ!」なんて驚くようなチカラ技(?)を繰り出してくるので、たまに度肝を抜かれます。でも、そんな風に笑い飛ばして太陽を満喫しているのを見ると、シミやシワのひとつでクヨクヨするのが馬鹿らしいな、という気になってくるのです。
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