『天使なんかじゃない』、『ご近所物語』、『NANA』、『Paradise Kiss』など“伝説”と呼ばれる数々の作品を世に送り出してきた矢沢あいさん。ミモレ世代の皆さんは、これらの作品とともに青春を駆け抜けた人も多いのではないでしょうか。
90年代後半生まれの筆者は、友人のママから「とってもいいから!」と漫画を全巻貸してもらい、まんまとどハマりしました。寝る間も惜しんで読んでいた高校時代が懐かしい……。
それから時が経ち、『ALL TIME BEST 矢沢あい展』(7月20日から1月22日にかけて各地で開催中)の参戦を機に、読み直したんですよ。やっぱり、何度読んでも最高……! 矢沢あいさんの漫画って、いつまでも色褪せないというか。古くなることがないんですよね。恋する女の子たちの迷いや葛藤は、いつの時代も同じなんだなぁと感動しました。
そこで今回は、矢沢あい作品大ファンの筆者が、『NANA』の魅力について語っていきたいと思います(以下、ネタバレを含みます。これから読まれる方は、ご注意ください)!
対照的な2人のヒロイン 取り巻くキャラクターたちも個性が豊か
『NANA』の主人公は、小松奈々(=ハチ)と大崎ナナ。2人の“ナナ”が、東京に向かう新幹線のなかで出会うところから物語が動き出します。作品を読まれた方は、もちろんご存知だと思いますが、この2人は見た目も中身もとにかく正反対。なのに、次第に強い友情が、芽生えていくのです。
筆者が深いなぁと感じたのは、か弱く見えるハチが実は図太くて、無敵に見えるナナが実は脆いところ。現実でも、「辛いー」「悲しいー」と弱さを吐き出せる人って、案外強かったりしません? この対比が、すごくリアルだなと思いました。
また、彼女たちを取り巻くキャラクターも個性が豊かなんですよね。“その他大勢”が出てこないというか。矢沢あいさんの作品って、すべてのキャラクターに愛を持って描かれているのが伝わってくるんです。
これは、『NANA』以外も同じ。『ご近所物語』のバディ子こと中洲茉莉子なんて、普通なら“嫌なやつ”で終わってしまうところじゃないですか。でも、いろいろな面を描いてくれるから、彼女の脆さや葛藤を知ることができる。
悪い部分しかない人って、いないのかもしれないなぁ……と思えたのは、矢沢あいさんの作品を読んできたおかげだと感じています。だから、主人公以外の人物にも感情移入しすぎて、苦しくなってしまうのかもしれないけど!
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